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ボルカールール完全実施でじわりと変化しつつある金融市場

7月20日に中国の投資筋主導で金が大量に売られたのは記憶に新しいところですが、実は21日から米国ではボルカールールが完全適用になり、金融機関の自己売買や傘下の投資ファンドの運営などが大幅に制限されることになりました。

どうやらこの件も金の売却には影響を与えているという話も聞こえてきますが、金融市場では米社債やデリバティブ取引について中長期的に市場の流動性が低下する懸念があるとの声が出始めているのは確かです。

果たしてこの実施がどれだけ市場に影響することになるのかが注目されるところですが、確かに時を同じくしてコモディティ価格は下落を続けており、しかも米国市場ではハイイールドボンド、つまりジャンク債のボラティリティいが下がってかなり儲からなくなってきていることは間違いなく、市場に静かな変化が現れ始めています。

米銀のデリバティブ取引が減ると邦銀の米ドル調達にも影響

為替の世界にもこのボルカールールの影響がでることが心配されてはじめています。とくに国内の銀行はドル調達に米銀への依存度が高くなっていますが、その肝心のデリバティブ取引が減少することになると調達に支障がでることも危惧されはじめているのです。顧客からの依頼に基づく値付け作業、つまりマーケットメーカーディールは基本的に問題ないとされていますが、それ以外の自己売買の明確な線引きがどうなっていくのか業界ではかなり様子をみる動きになっているようです。

国内のメディアはまったく伝えませんがボルカールール後の市場の動きには当面注意が必要となりそうです。(執筆者:坂本 博)

金相場から引き上げられた資金はどこへ?

今にも1000ドル割れを起こしそうな金相場ですが、ブルームバーグによれば800-900ドルまで下落しそうだというレポートが出ています。一時は2000ドルを目指すと言われていた金ですが、なぜこれほどまでに下がったのかと言えば、ひとえに「商品としての魅力を失ったから」とのことです。

しかし冷静に考えてみると、商品としての魅力とは何でしょうか。

インドや中国など、これまで大きく市場を牽引してきた国々の金需要は景気が腰砕けすれば多少は下がるでしょうが、もともとこれらの国は投資としてより、婚礼品などの実需的側面から金を欲する傾向が強いため、いくら景気が悪くなったからと言って突然半減するわけではありません。

事実、香港に行けば、数百メートル毎に、金をふんだんに用いた宝飾品チェーンが今なお軒を連ねている有り様で、魅力がそこまで下がったとはとても思えません。

とすると、やはり大きく値を下げた理由は、投機対象としての魅力が失われたことによるものでしょう。ドル安・株安が続いていた頃とはうって変わって、現在はドル高・株高真っ盛りといった状況です。わざわざ金に投資する積極的理由がないということです。

ですが、このドル高・株高もまた、一時の金相場と同じである可能性はないでしょうか。

資金が全ての市場から消え去ることはありませんし、常にどこかへ投資されています。商品市場から引き上げられている資金が、ドルと株に「ブチこまれている」だけだとしたら?

一時期の金相場への傾倒が異常であり、現在のドル高・株高は正常だ、という見方は相場観を歪ませるもとです。波のように大きくうねりを上げて襲ってきたものは、引き際も大きいものです。金の需要を削いでいるはずの中国によるきな臭い動きが、意図せずしてリスクオフを形成し、金回帰へのトリガーとならないことを願うばかりです。(執筆者:大島 正宏)

原油は反発するのか? 答えは金相場に学べ!

 最近「原油反発」、「原油大幅高」という文字をニュースで見たことのある方は多いと思います。しかし、安易に買うのは考え物かも知れません。

 WTI先物チャートを見ると、1月下旬の43ドルを下値メドに一端55ドル近くまで上昇をしましたが、再度49ドルにまで下がってきています。30ドルから40ドル圏内は2009年にリーマンショックが発生した時、140ドルから一気に暴落したあと100ドル超まで再度反発していった地点でもあり、月足レベルで抵抗があります。底堅いのも無理はないでしょう。

 ではここで買うのか?

 それも妙案だと思います。短期的にはどこかで一度底入れするでしょうし、長期的にみてもせいぜい底は1990年から2000年までずっと維持されてきた20ドルだからです。しかし、数か月スパンでの反発を期待はしない方がいいというのが私の見解です。

 それは、同じメジャーな先物商品である金相場の歴史を思い出していただければ分かると思います。金相場もバブルで一時期400ドル程度から5-6年かけて1800ドルまで上昇したことがあります。

 当時はギリシャ危機のせいだとか、中国とインドの需要増だとか、最もらしいことが言われていましたし、2000ドルまで行くなどという勇ましい見解も出ていましたが、2012年半ばに500ドル近く崩壊すると、それ以後は2013年の年明けから約2年間、延々と1200ドル圏をさまよっています。

 なぜでしょうか? 一体、中国とインドの需要はどこへいったのでしょうか?

 相変わらずこの2か国は活発な経済成長を続けていますし、まさか需要が消えるわけもありません。答えは簡単です。株や債券の方に投資妙味が出て、金は投資対象として飽きられてしまったからです。

 2年以上1200ドルを維持している金を底堅いとみるのか、投資妙味がないとみるのかは皆さんの自由です。しかし、振り返って原油を見たとき、原油生産国が原油の産出スピードを縮めることはない、と宣言しており、かつ代替エネルギーが再び着目を浴びている今、はたして機関投資家の目に原油がおいしい投資商品として映るのかどうかは、疑問といったところです。(執筆者:大島 正宏)