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「季節的なもの」では説明がつかないアメリカの経済停滞

5月13日に発表された小売売上高は、対前月比で予想0.2%に対して、結果は0%、コア小売売上高は予想0.5%に対して、結果は0.1%という惨憺たる結果となりました。

先月のFOMCでは、アメリカの経済落ち込みは「季節的なもの」とされていただけに、4月でも相変わらずこのような数字が出てしまったことで、再び経済見通しに暗雲が立ち込める状況となりました。

思えば、月明けに発表された雇用統計も22万人という「それなりの」数字が発表されたものの、各社証券会社や銀行が予想した数値の平均値は23万人で予想を下回ったことには変わりありません。

さらに、3月の雇用統計の数字が8万人という大幅な下方修正を食らったとあっては、22万人という数字も、経済が好調であることの証というよりも、単なる一時的な「反動」に過ぎないという見方を採ることだって出来るでしょう。

失業率は5.8%にまで下がっていますが、これはそもそも労働参加率が1960-70年代の数値レベルの低数値であるため、前FRB議長のバーナンキ時代から一貫して参考とされていません。

そして、そこへ来て今回の小売売上高の惨憺たる実情は、市場参加者に「やっぱり」というため息をもたらす結果となったに違いありません。

このアメリカ経済の腰折れが一体何によるものなのか、という議論は様々にありますが、最も主流となっている見解が、「ドル高」のせいだという見方です。

ドル円はそういった市場の思いを反映するかのように、120.70から120.20へと一気に下落。株やドルストレートと全く連動しなくなったドル円なだけに、これをきっかけに大きな下落トレンドを形成していくかどうかは分かりませんが、少なくとも上値が相当程度、抑えられたことは間違いないでしょう。

やはりこれまで再三お伝えしている通り、ドル円は「売り」、アメリカの指標は基本的に「売り」でOKという見方は依然として変わりありません。(執筆者:大島 正宏)

中国の経済指標を笑えない 米国の雇用統計はなぜ毎回ぶれまくるのか?

11日FRBから動労市場情勢指数(LMCI)いわゆるイエレンダッシュボードが発表されましたが今月は1.9ポイント低下となり2ヵ月連続の低下となっています。また前回は0.3ポイントの低下から1.8ポイント低下にリバイスダウンしています。

8日に発表された4月の雇用統計もほぼ事前予想並みであったものの、3月分が大幅に下方修正され、そのくせ失業率は低減という、非常にわかりにくい内容となり、発表後市場ではその消化にかなり苦心させられたことが相場の動きから見てとれます。

外為どっとコムが当日の動きをYouTubeに公開していますのでリアルタイムでごらんにならなかった方はこちらをどうぞ

https://youtu.be/fhqHZV0DHRQ

さて、毎回発表されるたびに驚きの結果となりがちな米国の雇用統計ですが、なぜこんなにぶれるのでしょうか?

アトランタ連銀が発表している労働参加率の推移をみていますと、決してその参加率は向上しておらず、この状況下での失業率の改善はほとんど意味がないことを示唆しています。

ぶれまくりの主な原因は調査方法と発表タイミング

改めて米国の雇用統計の調査方法を確認しておきますと、まずNFP・非農業部門雇用者数については、自営業、農業従事者以外の民間事業者役30万から50万社(従業員ほぼ5000万程度)を対象に労働省がヒアリング調査を行い、給与が支払われたかどうかを重視して就業者を特定することになります。

ただ、調査結果はあくまで毎月第一週に間に合う形で回答があった事業者からの数値だけをまとめて速報で回答するため、気象状況などの変化等さまざまな事情で回答が遅れると、実は速報はほんの一部の数値をベースにして作成されるため、翌月になって回答がより集まった時点で大幅にその結果がリバイスされることが頻発することになってしまうのです。

また失業率のほうは、約5万~10万の各家庭に労働省が面接調査をしており、失業者は4週間以内に就業活動をしたか否かで定義されることになります。したがって8週以上職探しをしたけれどあきらめて就業活動をやめた層はまったくこの中に含まれないのです。

また前者のNFPと失業率の対象となる家庭はなんら関係性のないサンプルから別個にカウントされるので、NFPは悪化したが失業率は改善するといった齟齬が頻繁に発生するのです。

こう書いてしまうと、何このデータ? という話になってしまいますが、ただこうしたお粗末な集計方法で発表されていることは紛れもない事実となっているので、果たしてこれを基準にして本当に利上げ判断に遣うのか?という大きな疑問が生じることになります。

4月の雇用統計結果を受けては、株式市場は利上げ後ずれの可能性を好感して大きく株価が上昇することとなりましたが、ロイターの調査では依然9月にアリバイ的に利上げの可能性を指摘するアナリストが多いことを示しており、各市場ともにいいところ取りをする結果となっており、大きな流れの変化にはなっていません。

ただしドイツ国債の利率上昇とともに米国債の利率も大きく上昇しはじめており、欧州発での大掛かりな市場のアンワインドの兆候も依然見られているため、引き続き市場を注意深く見守る必要がありそうです。 (執筆者:坂本 博)

雇用統計というボーナスタイムで儲けろ!

アメリカの4月分雇用統計の発表が金曜日に近づいてきています。

以前もお伝えした通り、アメリカの指標は売れば儲かるというボーナスタイムがつづいており、今後もしばらくその潮流は続くのではないかとよんでいます。

一部には、FOMCのコメント通り、「最近のアメリカの経済指標の腰折れは季節的なもの」という見方もあるようですが、季節的にしては余りにも広範かつ長いのでは、というのが私の考えです。

事実、それを裏付けるかのように、水曜日に発表されたADP(民間版・雇用統計)も市場予想20万人に対し、結果は16.9万人と冴えない数字が発表されました。前哨戦のADPでもこのような数字が出てしまう以上、今回の雇用統計の市場予想22万人という数字は、明らかに「期待先行」ムードにあると言わざるを得ません

ただ、22万という数値が出ていますが、おそらく市場が下目線であることは満場一致でしょう。そう考えると、ひとまずアルゴリズムの発動で発表後に下りはするであろうものの、多少の下げではそこまで動じない可能性もあります。

海外勢が巨額の利益を出したドル買いポジションをクローズしにかかっていることに加え、アメリカ景気の腰折れ、そしてナスダックを筆頭にバブルの兆しが見えていること。これらのことから何度もお伝えしていますが、そろそろ近いうちに何か大きな爆弾がドル円にも投下されると思っています。(執筆者:大島 正宏)