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6月後半からの米国債券王の動きの変化に大注目~果たして市場に激変があるのか?

ギリシャの債務問題に気をとられているうちに米国の直轄領であるプエルトリコではデフォルト騒ぎがおこり、そのあおりを食ってハイイールドボンドが破綻寸前という冷や汗ものの状況となりました。

さらに7月後半はウクライナのデフォルトが予想されており、なにより中国上海の株式市場がここ3週間で29%も下落するというこれまでになかったようなリスクが次々示現する金融市場となっており今年後半はこれまでとは異なる市場の動きが起きるのではないかとの危惧が高まりつつあります。そんな中で米国の債券王として市場で非常に大きな影響力をもった二人の予想と行動に俄然注目が集まっているのです

6月26日に米国債を大量購入した新債券王ジェフリーガンドラック


≪ジェフリーガンドラック氏 画像元:http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NN2ZHY6JIJUQ01.html≫

ロイターが報じたところによりますと、 米ダブルライン・キャピタルでビル・グロースを抜いて新債券王と呼ばれるようになったジェフリー・ガンドラック氏が6月29日、ギリシャとプエルトリコの債務危機に関する新たな動向を見越し、前週末26日に大量の米国債と連邦政府抵当金庫(ジニーメイ)のモーゲージ担保証券(MBS)を購入したことを明らかにしています。

同氏は、仮に利回りの上昇が加速したとしても、高利回りのジャンク債(投機的等級債)や新興国の債券は米国債のパフォーマンスを下回るため、米国債やジニーメイのMBS投資を行ったと説明しており、当然のことながら米債券は大幅高となり、金利は低下することとなりました。5月末にPIMCOが手持ちの米国10年債の7割弱をさっさと売却してことが話題になりましたが、今回まったく逆方向の動きをガンドラック氏が仕掛けたことに市場は驚きを隠せない状況です。

ビル・グロースも中国バブルを指摘

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≪ビル・グロース氏 画像元:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KE1NW20150105≫

昨年古巣のPIMCOを追い出される形でジャナスキャピタルグループに移籍した債券のカリスマ、ビル・グロースも4月にドイツ国債の急落を予想して的中させて話題になっていますが、その後6月3日には「独長期債は人生最大の売りの好機」のその後。予想通り実現した。次は中国深セン指数だ。でも、まだだけどね・・・とツイッター上で発言し、中国の個人投資家が相場をなめてしまっていることに警鐘を鳴らしていますが、その直後から上海市場が暴落をはじめており、こちらもかなり話題になっています。

為替相場は部分的には個別の市場で株価との連動性があるようにも見られますが、本質的なマクロの動きとしては債券の動きに大きく影響を受けるようになっており、そのビジネスの真っ只中にある債券王の口からこれまでと異なる流れや売買方針が打ち出されていることは非常に注目される状況と言えそうです。何が起ころうとしているのかわかりませんが、一旦こうしたメインプレーヤーが市場から撤退し、流れの変化を見極めようとしているところがなんとも気になるところです。 (執筆者:坂本 博)

FOMCイエレン発言で鮮明になった長期停滞論ベースのリスクシナリオ

FOMCの結果とその後のイエレン議長の発言を受けてドルは利上げ期待感の後退から大幅に売り込まれることとなりました。とくにロンドン勢のドル円売り浴びせはさすがのアニマルぶりを発揮し122円50銭を割らんばかりの勢いとなっており、ここでもう一押し下方向が示現すれば121円台方向への調整も現実化しそうな気配です。

ビハインド・ザ・カーブが鮮明の状況に

イエレン議長の会見というのもご本人のしゃべり方のせいもあるかと思いますが、問題発言を起こさないようにほとんど新しいことを口にしない雰囲気で日銀・黒田会見に劣るとも勝らない面白くなさですが、それでも聴いていますとその発言の根底にローレンス・サマーズの長期停滞論がリスクシナリオの下敷きとなり始めていることがかなり鮮明になりつつあります。

昨年末までは長期停滞論が存在するという見方はFOMCにはないとさえ口にしていたイエレン発言からするとえらい宗旨替えとも思われる状況で、ビハインド・ザ・カーブ、つまり利上げ後退は鮮明になりつつあります。巷ではバーナンキ前議長とローレンス・サマーズ自身がこの長期停滞論をめぐってブログで大論争をしている最中ですが、どうやらFedはこれを支持しているように見受けられます。

FOMC声明発表時に公表されている参加委員による政策金利見通しであるドットチャートも鮮明に下方シフトし始めていることがわかります。年内利上げ宣言をしておきながらこういう状況なの?というのが正直な印象で、ドルが大幅に売られるのもわかる内容といえます。

タカ派のフィッシャー前ダラス連銀総裁もタカ派返上?

ここのところのFRB関係者の発言で注目されるのは3月に退任したタカ派のフィッシャー前ダラス連銀総裁のものいいの変化です。いつでもチェックアウトできるが決してホテルを去ることができないホテルカリフォルニア化するリスクが金融政策にはあったという名言でおなじみの同氏が1937年の過ちは繰り返したくないと、すっかりレイダリオの予言に感化されたような発言をして市場をびっくりさせているのも注目されます。

結局市場が考えているほど米国景気はよくないということか?

イエレン議長は何度も、今後の利上げはデータ次第を連呼して利上げがなくなったわけではないことを強調していましたが、結局のところ米国の景気はそれほど回復していないことを彷彿とさせるのが今回の会見内容でした

その昔、水前寺清子の365歩のマーチという3歩進んで2歩下がるなどという牛歩の歩みのような歌がありましたが、この調子では12月までこのような前に進んでいるのか逆走しているのかわからない動きが続きそうな気配です。

ドル円は当面上値の重いレンジ相場を形成か

さて、今後のドル円の動きですが、完全に125円台後半がピークとなって122円台が当たり前の気配になってきています。冒頭でも書きましたがさらにレンジを下げる可能性もでてきており、しっかりチャートを見ながら下値を慎重に拾うことが重要になりつつあります。

日本の貿易赤字額も月次で前年比かなり減少していることを考えても円安の支援材料がどんどん希薄になっていることは間違いありません。今回またしてもドル円がどこまで上昇するのかの議論が不毛なものになってしまいました。 (執筆者:坂本 博)

米国の対円容認レートはいったいどこまでなのか?

先ごろドイツで開催されていたG7でオバマ米大統領が各国首脳らに対し強いドルは問題だと発言したと報道が出たことについて、ホワイトハウスはこれを否定する声明を8日に出し、金融政策などの手段を駆使して成長を促進することの必要性に言及したものだとわかったような、わからないような説明をしました。

ここからはあくまで類推の域を出ませんが、こうした発言は実際に口にされたからこそ露見してしまったのであって、ご本人も本当にそういった事実なのだろうと思います。これが嘘か本当かは今更いくら詮索してみても意味のないことですが、米国が個別通貨に対して容認できるレートが存在することだけは認識することができます。

米国の円安容認レートは一体どこまで?

米国サイドからのけん制発言が出る前に日銀・黒田総裁による確信犯的口先介入がでてしまったので、はっきりはわからないのですが、どうも米国の円安容認レートは125円程度と見られています

つまり5日の雇用統計の結果を受けてそのボタンが押されてしまったことは事実のようで、今後も相場は上値を試しにいくことになるでしょうが、128円程度まで上がればかなり米国サイドからけん制発言が飛び出すことになる可能性が高いのは容易に想像できるもので、ニュースのヘッドラインにそうした報道が出るたびにアルゴリズムが過剰に反応して売り浴びせが出る危険性があることだけは理解して取引する必要がありそうです。

米下院でTPA法案について審議入り

TPPの鍵を握ると言われるオバマ大統領への貿易促進検眼(TPA)の審議がいよいよ米下院で始まろうとしています。この状況からもドル円は一方的に上昇しにくい状況が続きそうです。

ただ、口先介入は2回、3回と回数を重ねるうちにその効果を漸減させていくものですから、125円以上はありえないと思い込むのは危険です。ドル円は120円を割るような事態となれば明らかにトレンドが変わってくると思われますが、肝心要の米国の利上げはこれから始まるものであり、日米両政府が容認するしないの可否にかかわらず相場が上方向を依然として向いていることが間違いありません。(執筆者:坂本 博)

米国金利からみると整合性のとれないドル円の独歩高

皆さんご存知のとおり、今回のドル円のきっかけは米国FRBのイエレン議長による今年のどこかで利上げが適切発言に起因していることは間違いないわけですが、この話からすればここへ来ても6月利上げ説は完全に消えたわけではないようです

しかしながらその後の米国債の金利状況をみるとどうも利上げ観測でドルが買われている状況との整合性が取れないのが実情となっています。

単なる投機筋の仕掛け買いか?

直近の債券相場を見ますと米国国債の金利は10年ものも2年ものも低下中です。

添付の米国のイールドカーブを見てもその動向は明らかで本来利上げを織り込むなら金利も連動感があってしかるべきなのに整合性が取れない状況となっているのです。

いったいこの状況をどう理解すればいいのかなかなか判断に苦しむところですが、これを受け止めた場合、そろそろ反転ポイントに近づいているのではないかという印象を持ちます。つまり125円には今回の上げで届かない可能性もあるということです。

この理論的につじつまの合わないドル円状況は単に投機筋が仕掛けて、幸か不幸か国内のPKOがそれを支える形になっている可能性はきわめて高いと考えられます。すでに仕掛けた側にとってはかれこれ200ポイントぐらい抜けていますから結構稼げた可能性もあるのです。

巷では128円だ130円だという威勢のいい話をするFX解説者も多い状況ですが、相場に逆らう必要はないものの、一方向だけのシナリオを妄信しないほうがよさそうな状況にもなってきています。

28日におけるドル円の124円台のプライスアクションを見ていますと、買いの支えがなくなるとずるずる滑り台から落ちていくような動きを繰り返しており、決して買い一辺倒ではないことを示唆しています。とにかく買いにしても売りにしてもタイトなストップロスを置いてリスクを減らすことが肝要です。(執筆者:坂本 博)

「季節的なもの」では説明がつかないアメリカの経済停滞

5月13日に発表された小売売上高は、対前月比で予想0.2%に対して、結果は0%、コア小売売上高は予想0.5%に対して、結果は0.1%という惨憺たる結果となりました。

先月のFOMCでは、アメリカの経済落ち込みは「季節的なもの」とされていただけに、4月でも相変わらずこのような数字が出てしまったことで、再び経済見通しに暗雲が立ち込める状況となりました。

思えば、月明けに発表された雇用統計も22万人という「それなりの」数字が発表されたものの、各社証券会社や銀行が予想した数値の平均値は23万人で予想を下回ったことには変わりありません。

さらに、3月の雇用統計の数字が8万人という大幅な下方修正を食らったとあっては、22万人という数字も、経済が好調であることの証というよりも、単なる一時的な「反動」に過ぎないという見方を採ることだって出来るでしょう。

失業率は5.8%にまで下がっていますが、これはそもそも労働参加率が1960-70年代の数値レベルの低数値であるため、前FRB議長のバーナンキ時代から一貫して参考とされていません。

そして、そこへ来て今回の小売売上高の惨憺たる実情は、市場参加者に「やっぱり」というため息をもたらす結果となったに違いありません。

このアメリカ経済の腰折れが一体何によるものなのか、という議論は様々にありますが、最も主流となっている見解が、「ドル高」のせいだという見方です。

ドル円はそういった市場の思いを反映するかのように、120.70から120.20へと一気に下落。株やドルストレートと全く連動しなくなったドル円なだけに、これをきっかけに大きな下落トレンドを形成していくかどうかは分かりませんが、少なくとも上値が相当程度、抑えられたことは間違いないでしょう。

やはりこれまで再三お伝えしている通り、ドル円は「売り」、アメリカの指標は基本的に「売り」でOKという見方は依然として変わりありません。(執筆者:大島 正宏)