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いよいよ利上げしない理由がなくなってきたFed

5月分の雇用統計が日本時間5日の夜9時半に発表となりました。結果は予想を大きく上回る28万人で失業率は5.5%となりNFP自体は大幅上昇、失業率微妙に上昇しましたが誤差範囲の動きとなっています。

この数字だけをもってして6月利上げとはならないかと思われますが、それでも徐々にFedが利上げをしない理由がなくなりつつあることが事実で、ジャクソンホールでイエレン議長が講演を行わなくても9月利上げの可能性は高まってきたと言えそうです

IMFはすでに米国は新興国をはじめとする他国の経済状況に配慮して16年以降に利上げを繰り下げるべきといったレポートを開示していますが、これまでにFRBが他国の経済状況を配慮したためしなどはないわけで、徐々に利上げに追い込まれていることだけは事実のようです。

またも上昇局面に入ってきたドイツ国債金利

ところで一旦は落ち着きを取り戻したと思われたドイツの国債金利がまたしても1%に近づく急騰ぶりを見せています。

債券市場は0.1%金利が上昇しても母数になる取引量が莫大となるため損失の膨らみ方は為替や株の比ではありません。

したがって前回の投売りでもかなりの損失をかかえたファンド勢や銀行筋などは多く、いまやドイツ国債金利が世界的にマーケットに影響を与え始めていることは間違いない状況です。しかもこの債券金利上昇というのは確実に株式市場の下落を招きますので、向こう1~2か月はこの動きにも神経を尖らせる必要がある状況となってきています。

NFPの結果を受けても126円を突き抜けなかったドル円

NFPの結果を受けてドル円は1円以上の上げを見せましたが、そのまま126円方向にまで突き抜けるほどのエネルギーはないまま週末を迎えています。

毎回のNFPアノマリーから言えば、今回もかなり高いところが発射台となりましたので来週以降逆に下げる局面についても注意が必要となりそうです。

ここ2年ほどのドル円の急騰には日銀の量的金融緩和かFRBの政策変更の確定のいずれかが燃料となってきたことは間違いありませんが、そのどちらも現状では未確定ななかで果たして126円を超えるところまで一気に上昇することになるのかどうかが来週の見極めどころとなりそうです。

またチャート的にはユーロが上昇をトレンドを形成しそうな気配もあり、これもドルインデックスを冷やす可能性がでてきています。どうもギリシャ問題はIMFから手を差しのべるという出来レースになっているようで安全保障上の問題から簡単にはデフォルト、ユーロ離脱は起こらなさそうな状況で、市場のドライバーの要素から消えている状況です。週明けに発表となるFRBのLMCIにも再度注目したいところです。(執筆者:坂本 博)

米国の重要な金融政策転換の試金石となる6月の雇用統計のポイントはここだ!

いよいよ6月5日に米国の雇用統計が発表されます。事前予想は以下のとおりです。

これを見ますと平均時給以外はほとんど先月と同じ状況です。

もちろんこの数字を下回ればアルゴリズムがテキストを読み取ってドル円を売りに回る可能性がありますが、継続して20万人の雇用が維持され、しかも失業率も横ばいとなれば、市場の見方は少なくとも9月には利上げがあると判断する可能性があり、さらにこの数字が大幅に上回ることがあれば、6月の利上げ説すら復活する可能性が高く、ドル円はオーバーシュート気味に大幅上昇する可能性がでてきています。

このまま6月中盤のFOMCまで突っ走る可能性も否定はできない状況です。ここへ来て米国の経済指標は少しでも予想よりよかった場合、大げさに買いあがるケースが増えているため、このシナリオは否定できない状況です。

ECB会見でのドラギ発言でユーロは驚くほどのショートカバーを示現

今週脅かされたのはユーロが想像以上に戻りを試したことで、水曜日のECBドラギ総裁の会見で「インフレは今年始めに底入れし、今後上昇しはじめるだろう」、「現時点ではQEを拡大する必要はないとみている」といった発言を契機としてユーロは大きく買い戻されることになっており、ドル円は既に123円台に下落して雇用統計の発射台を低くする状況となっています。

果たして良好な結果がでても125円を飛びぬけているのかどうかがユーロのおかげでかなり怪しくなってきているともいえるのです。

6月第二週からは水星が順行にもどるタイミング

いきなりアストロのアノマリーかと言われる方も多いと思いますが、来週からは水星の順行にもどる時期になります。それが本当に意味があるのかは別としてこれまでの結果でいいますとほぼこうしたタイミングでは75%が円高になると言われているため、一旦上がっても下げの調整になる可能性があるということを示唆しているのです。

結局シナリオは三つ

当たり前のことではありますが、雇用統計シナリオとしては次の三つが考えられます。

(1) 著しく強い結果を受けてドル円縛騰 126円方向へすり抜け

NFPがあまりにも強い結果となった場合にはドル円は125円前半をすり抜けて126円以上までオーバーシュートする可能性があります。この場合125円に5000本あると言われるオプションは完全にぶちぬくかたちとなり、128円方向に向けて突き進む可能性があります。

(2) そこそこの数字の場合は125円前後で頭を抑えられる可能性も

予想どおりもしくはそれより若干弱いものの20万人以上のNFPといった場合にも買い上がりが予想されますが、この場合、前述のようにユーロのおかげで発射台が低くなる可能性があるため125円見当でとめられる可能性大といえそうです。この場合逆走して一定の押し目を作る可能性もあります。

(3) まさかの大幅数字下落の場合

この場合には額面どおりドル円は下げることになると考えられます。ただ、どこのレベルでNFPの発表になるかにもよりますが、123円台ならば123円を切れるあたり、されに押しても122円台の前半まで戻れば、それ以上下を押すところまでのパワーは想定できず、逆にいい押し目の買い場となる可能性がでてきます。

以上のような三つのシナリオを想定して臨んでみてはいかがでしょうか?(執筆者:坂本 博)

雇用統計 前回は微妙に悪い数値だったが…

今月もまた全米最大の経済イベントがやってきました。注目は金曜日(6月5日)に行われる雇用統計です。

証券会社や銀行の出した予測の中央値は22.5万人となっていますが、これは前回の22.3万人より微増とはいえ、ほぼ変わらない数値です。一体どうなるのでしょうか。

雇用統計の行方を占う上で、重要視されるのがADP雇用統計です。先述した雇用統計(NFP)が国によって提供される数値であるのに対し、ADPは民間によって雇用統計週の水曜日に「参考」として出される数値であることが特徴です。以前は、本家雇用統計との乖離が著しく、市場を無用な混乱に陥れるだけで全く参考になりませんでしたが、改定を重ね、現在はそれなりに使える数値となっています

さて、このADPは予想20万人に対して、結果は20.1万人。前回が16.9万人であったことを考えると微妙に雇用は上向いたといったところでしょうか。ADPがここまでおとなしいと、金曜日に発表される雇用統計も、どうやら予想からそこまで乖離した数値ではなさそうです。

アメリカの製造業が相変わらず腰砕けになってしまっていることを考えれば、ネガティブサプライズに賭けた方が面白みはありますが、たとえ予想より1000人多い/少ないだけでも大きく動くのが雇用統計です。ポジションは一端クローズするのがベストかも知れませんね。(執筆者:大島 正宏)

中国の経済指標を笑えない 米国の雇用統計はなぜ毎回ぶれまくるのか?

11日FRBから動労市場情勢指数(LMCI)いわゆるイエレンダッシュボードが発表されましたが今月は1.9ポイント低下となり2ヵ月連続の低下となっています。また前回は0.3ポイントの低下から1.8ポイント低下にリバイスダウンしています。

8日に発表された4月の雇用統計もほぼ事前予想並みであったものの、3月分が大幅に下方修正され、そのくせ失業率は低減という、非常にわかりにくい内容となり、発表後市場ではその消化にかなり苦心させられたことが相場の動きから見てとれます。

外為どっとコムが当日の動きをYouTubeに公開していますのでリアルタイムでごらんにならなかった方はこちらをどうぞ

https://youtu.be/fhqHZV0DHRQ

さて、毎回発表されるたびに驚きの結果となりがちな米国の雇用統計ですが、なぜこんなにぶれるのでしょうか?

アトランタ連銀が発表している労働参加率の推移をみていますと、決してその参加率は向上しておらず、この状況下での失業率の改善はほとんど意味がないことを示唆しています。

ぶれまくりの主な原因は調査方法と発表タイミング

改めて米国の雇用統計の調査方法を確認しておきますと、まずNFP・非農業部門雇用者数については、自営業、農業従事者以外の民間事業者役30万から50万社(従業員ほぼ5000万程度)を対象に労働省がヒアリング調査を行い、給与が支払われたかどうかを重視して就業者を特定することになります。

ただ、調査結果はあくまで毎月第一週に間に合う形で回答があった事業者からの数値だけをまとめて速報で回答するため、気象状況などの変化等さまざまな事情で回答が遅れると、実は速報はほんの一部の数値をベースにして作成されるため、翌月になって回答がより集まった時点で大幅にその結果がリバイスされることが頻発することになってしまうのです。

また失業率のほうは、約5万~10万の各家庭に労働省が面接調査をしており、失業者は4週間以内に就業活動をしたか否かで定義されることになります。したがって8週以上職探しをしたけれどあきらめて就業活動をやめた層はまったくこの中に含まれないのです。

また前者のNFPと失業率の対象となる家庭はなんら関係性のないサンプルから別個にカウントされるので、NFPは悪化したが失業率は改善するといった齟齬が頻繁に発生するのです。

こう書いてしまうと、何このデータ? という話になってしまいますが、ただこうしたお粗末な集計方法で発表されていることは紛れもない事実となっているので、果たしてこれを基準にして本当に利上げ判断に遣うのか?という大きな疑問が生じることになります。

4月の雇用統計結果を受けては、株式市場は利上げ後ずれの可能性を好感して大きく株価が上昇することとなりましたが、ロイターの調査では依然9月にアリバイ的に利上げの可能性を指摘するアナリストが多いことを示しており、各市場ともにいいところ取りをする結果となっており、大きな流れの変化にはなっていません。

ただしドイツ国債の利率上昇とともに米国債の利率も大きく上昇しはじめており、欧州発での大掛かりな市場のアンワインドの兆候も依然見られているため、引き続き市場を注意深く見守る必要がありそうです。 (執筆者:坂本 博)

FRBは本当に利上げをするのか?

 2月6日に発表された1月の雇用統計は、予想よりも強い数字で景気回復感を裏付ける内容となっています。

民間部門雇用者数
結果 267千人
予想 222千人 前回 320千人(240千人から修正)

製造業雇用者数
結果 22千人
予想 12千人 前回 26千人(17千人から修正)

平均時給(前月比)
結果 0.5%
予想 0.3% 前回 -0.2%

平均時給(前年比)
結果 2.2%
予想 1.9% 前回 1.9%(1.7%から修正)

週平均労働時間
結果 34.6
予想 34.6 前回 34.6

不完全雇用率
結果 11.3%
予想 N/A 前回 11.2%

労働参加率
結果 62.9%
予想 62.7% 前回 62.7%

 こうしたことから市場は利上げが確実に早期に行われるものとしてドルが買われ14日ぶりにドル円は21日移動平均線を上回り119円台にまで上昇しています。

市場の見方は二分

 毎月雇用統計の結果がいいと、早期利上げ見込み確実ということからドル円が買いあがりますが、世界的にはすでに32カ国が利下げをし、ECBは量的金融緩和を決定し、先進国を中心に通貨安戦争の輪が広がっています。

 せっかくのデフレ対策であるにも係わらず原油価格の下落は各国ともに輸入物価指数を大きく押し下げており、益々デフレに向かうというなんとも皮肉な状況が続いています。

 2月のリスク一覧でも触れましたが、FRBの政策の理論的支柱とも言われる、長期停滞論を打ちだしているローレンス・サマーズ元米国財務長官はこのデフレ状況下で安易な利上げをすることに否定的な見解を示しており、こうした意見がどれだけFRBに影響を与えるかが注目されます。

 一方でロックハート米アトランタ地区連銀総裁は6日、米経済は年内の利上げ開始が正当化されるほど力強い成長が継続すると考えられるが、弱いインフレや賃金の動向には不安が残ると述べています。

 また議会でマジョリティとなっている共和党は強く政策金利の正常化を要求しており、FRBとしても今後の手立てとして金利下げができるようにするためにも最低0.25%の金利上げはどこかで行っておきたいのは事実のようで、依然として6月もしくは7月ごろの利上げは維持されていると見るむきも強くなっています。

金融抑圧とバブルの温存のためには利上げはしても実効金利は上げたくないのがFRB

 現在FRBが行っているのは明らかに金融抑圧性策と国策でのバブルの温存ということになり、サブプライム的な過剰な自動車ローンの最近の状況もエネルギー系を中心としたジャンク債の破綻もなんとか問題にならないで済んでいるのは金利をインフレ率以下に押さえ、借金を増やさないようにしていることがベースにあります。

 本来ならばQE3が終了した時点で金利が上昇し大変なことになっていたはずですが、これを日本と欧州のQEが助けているのが実情です。ですから利上げといってもお印程度で市中金利が大幅に上昇することはFRBもまったく望んでいないというなかなかわかりにくい構造があることは理解しておく必要があります。

利上げで間違いなく起きるのは株価の下落

 これまでの米国の利上げでは確実に株価が下落しています。状況が似ているといわれる2004年の利上げ時期にはNYダウだけでも7%以上の下落があり、日本の日経平均もそれにつられて大きく下落しています。したがって利上げが決まった時点である程度の株価下落とそれに引きずられる形での為替の下落は覚悟をしておかなくてはなりませんが、最近の噂で買って事実で売るといった動きからすれば利上げ時期確定の動きとなったあたりで事前に相場は動いてしまうことが予想されます

3月16日ブラックマンデー説も飛び出す市場

 週刊現代に『気をつけろ!「3月16日ブラックマンデー」説』という記事が掲載され、巷では話題になっています。どこまで信憑性のあることなのかはさっぱりわかりませんが、なんとなく皆が下方向を気にするとそうなることも考えられなくはないものですから、一応の注意が必要であることは間違いありませんが、テールリスクというのはだいたいいきなりやってくるものですから、週刊誌に出ているうちはまだ危なくないのかも知れません。

 とにかくこうした状況でまだ米国の利上げは確定的な状況とはいえませんが、事実だけを積み上げていきますと、周辺国がデフレになろうともFRBはあくまで自国の金融政策だけにフォーカスしていますから、利上げを予定通り行う可能性は高いというのが依然正しい認識といえるのではないでしょうか。(執筆者:坂本 博)