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ギリシャと中国、一体どちらのリスクが大きいのか?

7月に入ってからいきなりリスク全開祭りが開催中となってしまいましたが、果たしてどのリスクを重視して取引したほうがいいのかが大きな問題となりそうです。

中国リスクは各相場に売りの動きを示現

中国の上海証券市場のリスクは単にリスク回避ということだけではなく、株式の売買を止められているため、ヘッジファンドなどが中心となってコモディティや日経平均を売ることでリスクヘッジに使っているとの声が聞こえてきます。

つまり上海で売りに制限がかかればかかるほどこうした売りバイアスがかかることになるわけです。

特に日経平均に関していえばかなりの下げに対する余力がありますので、狙い撃ちで売り浴びせが継続する可能性があるといえます。すでに19250円レベルまでの下げは先物でも出始めていますので18500円が重要なポイントになると思われます。これにドル円がついていくことになれば120円割れからマイナス2~3円程度まで覚悟せざるを得ない状況といえるでしょう。

ギリシャリスクは長期戦かつギリシャの離脱が最大のポイント

ギリシャのほうはさらに話が複雑です。ギリシャ自体は神奈川県程度のサイズの国であり、その債権総額もたいしたものではありませんが、ギリシャのEUからの離脱が正式にプロセスとして認可されることになれば後続の離脱国の動きを簡単にすると見ているファンド勢は多いようで、ギリシャのあとにイギリスやフランスの離脱さえもありうるという話がでてきていますし、ギリシャが残るならドイツが離脱という物騒な極論も飛び出す始末で、こちらにもテールリスクがそれなりに付きまとっていることには注意が必要です。

こうしたリスクが錯綜する状況では、無理をして売買をしても巻き込まれるだけですので、一旦収まるまで一拍おくという冷静さも重要になりそうです

7月というのはドル円やユーロドルでは月初にさげても後半あげて終わるアノマリーがありますので、しっかりと下げたところをみはからって早回しで利益を獲得してまた参入チャンスを待つと言った姿勢が重要です。また12日にユーロ圏の山場がやってきますので、この週末は十分な注意が必要となりそうです。(執筆者:坂本 博)

世界のあちこちで再登場するようになったデフォルト~でも一体正確な定義って何?

ギリシャの債務問題の観劇を縫って登場したプエルトリコのデフォルト問題。また7月23日にはあのウクライナにもデフォルトの危機が迫っているといいます。
しかし、ギリシャは6月30日の返済期限を越えてもIMFは遅延などと言い出して、いまだデフォルトが正式に認定されていない状態となっています。なんだ、債権者がデフォルトと言わなきゃデフォルトじゃないのかよ?と不可解に思われている方もさぞや多いことと思います。このデフォルトというのが一体どうやって決まるものなのか?についてまとめて見ました。

まずは一般的な定義から・・・

本来のデフォルトの定義というのは至ってシンプルです。借入をした人間もしくは国が自らの借入について、約束通りの利息の支払や元本の返済を出来なくなることが即ちデフォルトそのもので、日本語では債務不履行と呼ばれるものです。この要件から見ればだれが見てもギリシャの6月30日期日でのIMFに対する不払いはデフォルトのはずなのですが、これが実際のデフォルト判定となるとさまざまな要素がその判断基準に登場することになるのです。

ECB,IMF,ISDAの個別判断がデフォルトを決める

現時点ではギリシャを例にとるのがもっともわかりやすいので、あえてギリシャを中心にしてご説明しますが、デフォルトを認定する組織や機関というものはそれぞれに異なるものが並行して存在するややこしい状況があるのです。

一般的にメディアなどで目にするのは格付け機関、たとえばS&Pやムーディーズなどによるデフォルト認定となります。2011年のギリシャ危機の際にもこうした世界的な格付け会社が債務の減免やリスケジュールの実施でもデフォルトと認識する可能性について頻繁にコメントを提示して市場の注目を浴びました。

さらに今回のギリシャのデフォルトの認定にあたっては、欧州圏を統括する欧州中央銀行(ECB)やギリシャに直接的に支援金を貸し付けたIMFによる判断と決定があげられるのです。

一方テクニカル的にはISDA(International Swap and Derivatives Association)、国債スワップ・デリバティブ協会による認定もCDSの支払いに大きな影響力をもつためきわめて重要となります。

ISDAの会員が合意した事項というのは社会的に強制力を持たない単なる業界のベストプラクティスとして公表されますが、これは各国規制当局や他の業界団体との密接な対話を経て形成されることから、事実上の世界標準として機能しているのです。

デフォルトはそれに関連する保険の支払いといった実務取引にも大きな影響をあたえるため、それぞれの関連機関が独自の判断を下すことになるのが特徴で、IMFがデフォルトと口走ったらデフォルトになるというほど簡単ではないのです。しかも今回は政治的に配慮している部分があり、過去のジンバブエのケースを見ると最終的判断は一ヵ月後ぐらいになるのが定石となっているのです。これでは何がデフォルトかわからないという話になりがちですが、確かに実情はきわめて不明瞭な状態の中にあるといえるのです。(執筆者:坂本 博)

いよいよデフォルトの準備? ギリシャの債務返済断末魔

 15日、久々にギリシャ問題でECB会合の前にユーロが下げることとなりました。英国FT・フィナンシャルタイムズ紙がギリシャはデフォルトの準備をしているという報道をしたのに加えて、米国でオバマ大統領と面会予定のバルファキス蔵相が前回のヘアカット時に関与した弁護士と面会するという情報が流れたのがその発端となっていますが、4月末にデフォルトするかどうかは別としてとにかく債務返済のスケジュールはこの夏まで目白押しの状態です。

 この一覧はWSJの報道を元に8月末までの債務支払いのスケジュールを書き出して見たものですが、とにかくご覧のとおりで、ひとつ支払えばまた次の支払い債務の期日がやってくるという、典型的な借金地獄・火の車を国のレベルで演じているのが今のギリシャの状況で常にクリティカルポイントがやってくることがわかります。

政府発行の短期債で当座をしのぐ情態

 現状でははっきりいくらお金があるのかも良くわかっていないのようですが、とにかく短期の債券を政府が発行しては国内の銀行に買わせ、そこにECBが資金を投入するという形で資金調達をなんとかしているのが実情であり、償還日が来るたびにまた新たな債券を発行しECBが我慢して資金を出しているからデフォルトになっていないというのが実情です。

まったく税金を払わないギリシャ国民

 一方歳入面ではそもそも緊縮財政を行わないと宣言して当選したチプラス政権の様子をみるためにかなりの国民が税金をあえて滞納している状況で、これでは財政が改善する見込みはないのが実情となっています。

再度選挙実施も

 問題はできもしない脱緊縮財政で当選した今の政権が国民に公約を守るためにECB,IMFと対立せざるを得ない状況があるところで、実は緊縮財政策をとればIMFからの追加融資も実行の予定があったのです。したがって再度選挙をして国民に信を問うこともありえそうな状況ですが、金がないのにまた選挙するのか?というかなりパラドキシカルな状況に陥っていることは確かなようです。

デフォルト=Grexitではない

 ひとつ注意をしておかなくてはならないのはデフォルトだからユーロ離脱ではないということです。一定の債権放棄のあともさらにギリシャがユーロ圏に残るという選択肢も残されてはいるのです。デフォルトというと国のおしまいのように思われますが、対外債務を支払わないだけのことで、ロシアもデフォルトしていますし、常習犯はアルゼンチンで、実は日本も戦争に負けた時点でデフォルトになっているのです。

土壇場にくるとユーロが反応

 ここのところ株式市場もまったくギリシャの状況については気にしていませんでしたが、いよいよデフォルトかという話になると少なくとも為替は反応するようで、前述の債務返済スケジュールのどこでギブアップが起きるのかはよくわかりませんが、デフォルトの文字がタイムラインに躍った段階でアルゴが一気にユーロを売り込むことになるのは間違いないようで、その後の買い戻しのタイミングを含めてロングのポジションを持つときにはここ数ヶ月かなり気をつける必要がありそうな状況となってきています。 (執筆者:坂本 博)