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すっかり話題に上らなくなったギリシャはなんら改善されない状況継続


Photo Reuters
http://jp.reuters.com/article/2015/06/17/bonds-yields-breakingviews-idJPKBN0OX0BK20150617

ギリシャの証券取引所が再開され、概ね20%以上の下落を受けながらも一応は想定内ということでユーロの大きな下げは起きずに済んだ月曜日のマーケットでしたが、すっかり話題には上らなくなったものの、なんら根本的な解決がついていないまま夏休みで一息ついた状況となっています。

ギリシャ製造業PMIは見事なほどぼろぼろの状態

8月3日月曜日に発表になったギリシャの製造業PMIは30.2という最悪の数字を記録しており、いったいこの国は何でリカバリーしようとしているのか気が遠くなるような状況が続いています。もともGDPにおけるギリシャの製造業の寄与度は10%しかないので関係ないという話もありますが、それなら何がGDPを支えてくれるのか実に不安のよぎる状況が継続していることには変わりはありません。

先送りになった借金はまた膨大な額

今回の対ギリシャ金融支援の合意によれば、ギリシャは最高860億ユーロ(940億ドル)の金融支援を受けることになりますが、急進左派連合(SYRIZA)が率いる連立政権はその代わりに、さらなる緊縮を行い、付加価値税を引き上げ、規制に縛られたギリシャ経済を自由化することを約束させられています。

また、500億ユーロ(551億ドル)相当の国有財産を民営化ファンドに売却することも決められており、がんじがらめになっていることは間違いない状況です。ここのところすっかりギリシャネタで為替相場が動くことはなくなりましたが、秋口に再度同じ問題が前面に出てくるのはどうやら間違いないようです。

借金を返済できない輩にさらに金を貸してその中からIMFほかに返済させだだけの今回の措置では早晩同じ問題が繰り返されることになるのは時間の問題で、この金融支援はドイツがギリシャをEUから追い出すためにあえて仕組んだのではないかとさえ言われる状況です。(執筆者:坂本 博)

すっかり飽きたけど今一度ギリシャ問題の見通しを整理してみる

市場ではすっかり飽きがきて株も為替もまともに反応しなくなっているギリシャ問題ですが、新たな最終合意期限とされる6月5日まで2週間となってきていますので、改めてこの先どういうことが予想されるのか整理しておきたいと思います。

ここでも過去に何回も取り上げているネタではありますが、直近でどういうことが起きようとしているのか、ごく簡単にまとめてみました。

2012年と2015年のギリシャ問題の違い

2012年にも事実上のデフォルト騒ぎを起こしたギリシャですが、このときにはユーロ全体の崩壊の危機にあったことは事実でかなりクリティカルな状況だったことは間違いありません。

ただ2015年の現状は、ECBを中心に危機管理システムが構築され今何が起こっても欧州の小国であるギリシャだけに収まる問題になってきているということです。ECBは欧州各国の国債をQEのもとに粛々と買い入れていますがギリシャ国債だけは買い手のいない状態が続いているのです。

6月5日はギリシャ議会の議長が勝手に決めた期限

現在マスコミに流れている6月5日の期限というのはEUとギリシャとの間で話し合われているものではなく一方的にギリシャ議会の議長が決めた期限であるため、実はなにも起きないことが予想されます。ただひとつだけ事実があるとすれば、ギリシャは今度ばかりは本当にお金がないということです。

6月5日になにも起こらないといったいどうなるのか?

(1) まず交渉期限をさらに延長して新しい交渉を開始することが考えられます。

この場合、交渉はだらだら続くことになります。

(2) 交渉をどうするかについての国民投票の実施や解散総選挙も考えられます。

この選挙や投票次第ではチプラス政権が終了し緊縮財政政権が復活することも考えられます。こうなれば追加融資が実行され一旦は修羅場回避となるわけです。

(3) 一時的にユーロと株式市場に大きな影響がでる可能性が考えられます。

逆にチプラス政権が再承認されれば反緊縮政権が継続しますがこの時点でデフォルトは決定的な状況となるため、銀行預金の流出が始まり、ギリシャ市場は大混乱がはじまり、一時的にユーロと株式市場に大きな影響がでる可能性があるということです。

最近の動きは事実が露見して大騒ぎになること

これまではうわさで買って事実で売るといった市場の折り込みが進んだものですが、最近の為替市場の動向は事前は知らんぷりで、いよいよ事実が露見して騒ぎになるケースがほとんどとなっています。

どうしてこうもセンチメントが変わったのかはわかりませんが、ギリシャで日がついたところで初めて騒ぎが再燃することはありえそうです。

5月22日にはユーロ上昇のきっかけとなった対ドル1.10500をなんと言うこともなく割り込みましたので今週の動き次第では再度パリティ方向に逆走することおありうる状況となってきているのです。

IMFの返済だけEUが金を貸す可能性も

IMFへの不払いが生じることはEU圏の信頼が失墜することにもつながりますのでEUはこの金だけは貸し付ける可能性があり、問題はEUとの向き合いだけに絞られることも考えられるのです。

ということで、もっとも肝になるのは現政権が承認されるのかガラガラポンが再燃するのかにかかってきています。ギリシャがデフォルトすればロシアと中国がでてきて資金提供し、いきなり国際的な安全保障上のリスクが高まることになるため、米国をはじめとしてその状況を危惧する声がかなり高まっています。

結局収まるところに収まる可能性は高くなっていますが、一旦禊が行われないと治まらない可能性が出てきていることは間違いないようです。さて市場の現実はいかに?(執筆者:坂本 博)

まだまだ残るギリシャリスク 5月末に再度山場が近づく

すっかり日常的にギリシャリスクの話に慣れきってしまい、まったく金融市場では反応がなくなってしまったギリシャ問題ですが、実は問題はまだまだこれからというところに指しかかってきています。再度整理して今後考えられるケースと投資方法を考えてみると次のようになります。

1)最悪のケース・新ドラクマ発行は大きなリスクが発生

ギリシャのデフォルトも大きな注目点ですが、ユーロから離脱して独自に新ドラクマを導入する場合、かなりのリスクが欧州圏に広がる可能性があります。

ギリシャ政府はしききに自国内で利用できる通貨(ほとんど地域振興券のようなものですが)を考えているようですが、正式に国内に別通貨を発行することになると一旦預金封鎖を行って銀行口座を凍結し、強制的に切り替えを行うことは間違いないため、ユーロ離脱の国民投票が行われることが決まっただけで銀行での取り付け騒ぎが起きる可能性が極めて高くなります。

この状況はギリシャの国家のみならずギリシャ企業も支払い不能から破綻をする可能性がでてきますし、スペインやイタリア、ポルトガルの国債も暴落する可能性が高く、再度ユーロ危機を迎える可能性が高いといえます。

このあたりのリアリティのある動きについてはあまり検証されないまま離脱の話がされていますが、実は想像以上に大きな問題が起きて、その段階ではじめて大騒ぎになる可能性があるといえます。

2)デフォルトをしてもユーロ残留の場合

現状のチプラス政権は国内企業における会社更生法の適用のようなことをしきりにEUと交渉していますが、6月30日を待たずにいよいよ資金不足からデフォルトだけがやってくる可能性があります。

現状ではEUやIMFが求める改革要件を満たさないため、この状況がもっとお起こりやすくなります。デフォルトの宣言で一旦はユーロも大きく下落することが予想されますが、1)に比べれば小さいとは考えられますが、2012年並の騒ぎになる可能性は想定しておく必要がありそうです。

ユーロ離脱というのは仕組みとして確立していないだけにこの形になる可能性は現状ではもっとも高いといえます。

3)デフォルトも離脱も回避する場合

市場がなんとなく解決がつくのではないかと思っているのが、このデフォルトも離脱も回避するケースです。ギリシャの離脱は北アフリカやロシア、中国との予想外の結びつきを強くする可能性が高く、ドイツのメルケル首相は新たな安全保障上のリスクをこれ以上大きくしたくないとはっきり明言していますから、この可能性が現状では依然高いといえます。

とくに国民の半数以上がEUからの離脱を望むイタリアが離脱に走ったりした場合、イタリアの債務はドイツのGDPの7割を超えるものとなっていますので、IMFを含めてだれも支えられなくなり、大変な混乱を招く可能性があるということです。

したがって、この月末から6月にかけては、1)や2)のシナリオが実際に起きたらどうなるかを想定して投資を考えておく必要もありそうです。

既にすっかり飽きた感もあるギリシャ問題ですが、影響がでるのはまだまだこれからで、しかも結構大きな引き金になる可能性があることを想定しておいたほうがよさそうです。 (執筆者:坂本 博)