タグ別アーカイブ: イエレン

ガンドラックは年内利上げなしと予想~新債券王の読みは的中するか?

6月末にギリシャと中国の問題を予見して米国債などを購入し1週間で大きな利益を手にしている米国の新債券王であるジェフリー・ガンドラックがまたしても米国の利上げに対して独特の予想を展開して話題になっています。

イエレンFRB議長は7月15日の米下院金融サービス委員会での議会詳言し、年内利上げに意欲的という見方からドルは全面高となっています。ただ、席上かなり微妙なことも口にしています。

「利上げにより経済がリセッションに陥ると予想される場合、利上げは行わない。われわれは、議会に委託された目標の達成に向け金利の引き上げが適切となるほどに経済が十分に力強いと見なす時に、利上げを実施する。現時点ではフェデラルファンド金利の引き上げを行う適切な時期をめぐる判断はしていない」というのはその要旨で、いまだに利上げは経済状況次第であることを強調しています。

年内利上げなしと予想するジェフリ-・ガンドラック

イエレン発言を受けてアナリスト筋では年内利上げは規定路線と扱われていますが、新債券王の異名をもつダブルラインキャピタルのジェフリー・ガンドラックはこれに異論を唱えています。これは、15日にニューヨークで開かれたCNBC主催の会議での発言で、米当局が時期尚早に利上げを開始すれば、再び引き下げを余儀なくされるであろうと指摘しています。

これまで同氏はずっと年内利上げの確率を50%以下としてきていますが、既に年内利上げはないとの見方に変わってきているようで、FOMCメンバーによるドットチャートの予測など、FRBの見通しはほとんどはずれており、経済がFRBの予想通り成長すれば年内利上げというメッセージは、単なる希望的観測であると指摘しています。

秋口までは利上げ観測でドル高が続く可能性がありますが、その後利上げ期待が剥落するとドルは一旦下落する可能性もでてきそうで、ガンドラックの発言はメディアのみならずフェデラルファンド金利先物や米国債金利にも影響を与え始めています。(執筆者:坂本 博)

はやくも次のトリガー待ち? イエレン氏の証言内容に注目

さんざん市場を振り回した中国市場の経済指標(小売売上高、鉱工業生産)が予想を上回り良かったこと、日経平均が続伸していることなどから、ドル円もここ数日は落ち着きをみせています。

しかし、果たしてこの小康状態は続くのでしょうか。注目となりそうなのが、15日(日本時間16日)に行われる、米下院でのイエレンFRB議長の証言です。

イエレン氏はここで半期に1度の金融政策に関する報告を行う予定ですが、利上げを粛々と推し進めていくのか、いったん留保を促す旨を述べるのかで市場の注目が集まっています。

金融政策の議会報告は、押し並べてこれまでの発言の再確認であるため、目新しいものはなさそうですが、これまで市場の予想以上に「ハト派」色を示してきた同氏であるだけに、利上げに前向きな姿勢をひとたび見せるや、株価や為替相場に大きな影響があることは間違いないでしょう。

こういった特になにも材料らしいものが無い時こそ、ちょっとしたことが材料にされやすいのも事実。先日も、ツイッター社が買収されるという偽ニュースサイトが作られ、株価が一気に釣り上がってしまう事件が発生しましたが、市場が材料に飢えているときほど、急激な変動には備えておきたいものです。(執筆者:大島 正宏)

FOMCイエレン発言で鮮明になった長期停滞論ベースのリスクシナリオ

FOMCの結果とその後のイエレン議長の発言を受けてドルは利上げ期待感の後退から大幅に売り込まれることとなりました。とくにロンドン勢のドル円売り浴びせはさすがのアニマルぶりを発揮し122円50銭を割らんばかりの勢いとなっており、ここでもう一押し下方向が示現すれば121円台方向への調整も現実化しそうな気配です。

ビハインド・ザ・カーブが鮮明の状況に

イエレン議長の会見というのもご本人のしゃべり方のせいもあるかと思いますが、問題発言を起こさないようにほとんど新しいことを口にしない雰囲気で日銀・黒田会見に劣るとも勝らない面白くなさですが、それでも聴いていますとその発言の根底にローレンス・サマーズの長期停滞論がリスクシナリオの下敷きとなり始めていることがかなり鮮明になりつつあります。

昨年末までは長期停滞論が存在するという見方はFOMCにはないとさえ口にしていたイエレン発言からするとえらい宗旨替えとも思われる状況で、ビハインド・ザ・カーブ、つまり利上げ後退は鮮明になりつつあります。巷ではバーナンキ前議長とローレンス・サマーズ自身がこの長期停滞論をめぐってブログで大論争をしている最中ですが、どうやらFedはこれを支持しているように見受けられます。

FOMC声明発表時に公表されている参加委員による政策金利見通しであるドットチャートも鮮明に下方シフトし始めていることがわかります。年内利上げ宣言をしておきながらこういう状況なの?というのが正直な印象で、ドルが大幅に売られるのもわかる内容といえます。

タカ派のフィッシャー前ダラス連銀総裁もタカ派返上?

ここのところのFRB関係者の発言で注目されるのは3月に退任したタカ派のフィッシャー前ダラス連銀総裁のものいいの変化です。いつでもチェックアウトできるが決してホテルを去ることができないホテルカリフォルニア化するリスクが金融政策にはあったという名言でおなじみの同氏が1937年の過ちは繰り返したくないと、すっかりレイダリオの予言に感化されたような発言をして市場をびっくりさせているのも注目されます。

結局市場が考えているほど米国景気はよくないということか?

イエレン議長は何度も、今後の利上げはデータ次第を連呼して利上げがなくなったわけではないことを強調していましたが、結局のところ米国の景気はそれほど回復していないことを彷彿とさせるのが今回の会見内容でした

その昔、水前寺清子の365歩のマーチという3歩進んで2歩下がるなどという牛歩の歩みのような歌がありましたが、この調子では12月までこのような前に進んでいるのか逆走しているのかわからない動きが続きそうな気配です。

ドル円は当面上値の重いレンジ相場を形成か

さて、今後のドル円の動きですが、完全に125円台後半がピークとなって122円台が当たり前の気配になってきています。冒頭でも書きましたがさらにレンジを下げる可能性もでてきており、しっかりチャートを見ながら下値を慎重に拾うことが重要になりつつあります。

日本の貿易赤字額も月次で前年比かなり減少していることを考えても円安の支援材料がどんどん希薄になっていることは間違いありません。今回またしてもドル円がどこまで上昇するのかの議論が不毛なものになってしまいました。 (執筆者:坂本 博)

FOMCの利上げ問題と今後のドル展望

 これまでのドル高の動きは全て3月17-18日に行われるFOMCで 「忍耐強く」という文言が削除されるから、という前提で動いています。つまり、忍耐強くあることをやめ、これによって利上げの前段階をFOMCが準備しだした、というわけです。

 気候の影響によって景気減速が見込まれていながらも蓋を開けてみれば雇用を中心としてこれだけ強い数字が連続して出てきていることを踏まえれば、おそらく「利上げをしない」ことをほのめかし続ける理由は無いとみていいでしょう。したがって私も、「忍耐強く」という文言は取り除かれると考えています。

 しかし、その一方で6月に利上げが行われるという見方には全く賛成しません。理由は2つです

 1つは消費者関連の指標が実態も展望(マインド指数)も予想以上に芳しくないこと。消費者物価指数はプラスどころかマイナスに落ち込んでいますし、ミシガン消費者信頼感指数も予想より低い数値が出ています。ガソリン代が下がっても消費に回さず貯蓄を増やす傾向がみられるという分析もあり、好調な雇用だけをもって景気が完全回復したとFRBが結論付けるとは思えないからです。

 また利上げは現在の利上げ予測を前提にしたドル高に顕著なように、一層のドル高を生み出します。以前も述べたとおり、余りの急激なドル高はアメリカの製造業の勢いを削ぎ結果的に経済を減速させますし、ドル高は先進国同士だけの問題のみならず新興国の急激な通貨安を生み出します。特に現在新興国は経済を回すために相次いで利下げを行っている最中であり、アメリカがこのような状況下で利上げをすることは、国内のみならず、国外の通貨安を一層加速させることになり、結果としてグローバルインバランスを契機とした通貨危機が再度起きる可能性も示唆されています。

 また2つ目の理由として、現在のFRB議長であるイエレンがハト派であることを考えても、6月に利上げをすることはおそらく無いのではないか、というのが現状での私の見方です。当然利上げ観測後退はドル安を生み出します。これまで極端なレベルでドル高が加速してきただけに、ドル安に一端傾いたときの反動もまた凄まじいものになることは間違いありません。FOMCを控え、ドルストレートのツッコミ売りなどには十分注意しておきましょう。(執筆者:大島 正宏)