ダウ株価が絶好調なのにドル安円高、そして日経安……。邦人プレイヤーの頭を悩ませる相場がまた始まってしまいました。原因はイエレンFRB議長の「利上げペースは緩やかであるに越したことない」という鶴の一声です。
これによってドル円は一気に113.5から112.7へと一気に下げただけにとどまらず、明けた水曜日の市場では112円すら割らんとする勢いを見せています。
落下の開始位置、そして落ち方、ダウの上げ……これらすべてが2週間前のFOMCの完全再現のような状況であるだけに、市場からは思わず「またかよ」という落胆の声さえ聞こえてきそうです。
ただ前回の111円割れの動きが明らかに113~115円の長丁場レンジで溜まったロングポジションを狩る仕掛けのような様相を呈していた一方、今回はそこまで捕まったロングも溜まっておらず、むしろドルストレートも巻き込んだドル売りが主因となっていることからさすがに前回のような再現は起こらないでしょう。
ひとまず水曜日のADPがどのような形となるか、これによって金曜日の雇用統計の見方も変わってくるだけに、ドル円にとって水曜日は大きな分水嶺となりそうです。
とはいえ、株が上がっても下がってもこうして重みに引きづられて下落するドル円を見るにつけ、一体「2016年は130円」と息巻いていたアナリストは何だったのかと憤懣やる方ない思いにかられますね。最近はさすがに130円は現実離れしていると気づいたのかコッソリ122円へと下方修正したそうですが……。(執筆者:大島 正宏)