足してダメなら引いてみる~FXトレードにおける引き算の美学~その2


このまま、矛盾した判断を下すテクニカルに頼ってばかりいても埒(らち)が明かない。チャートを眺め続けていたある時、ふとそんなことを思い立ち、思い切ってチャート上に表示させていたすべてのテクニカルインディケーターを消してしまうことにしました。

当然、画面上にあるのはロウソク足だけになりました。そこには、売り買いをサポートしてくれるものは他に何一つありません。しかし、今まで、これでもかと表示させてインディケーターを取り除いてみると、なんだかものすごくスッキリした気分でチャートと向き合えるような気がしたのを覚えています。

そこで、あることを思い出しました。

一昔前、カルネージハートというロボット育成シミュレーションゲームがありました。ゲーム内では、自作のロボットにさまざまな行動を割り振って、相手ロボットと対戦させ、勝利を目指します。

当時、私も自分なりに工夫を重ねてロボットを育て、一応ストーリーモードはクリアして、それなりに強いプログラミングのロボットを作った気になっていました。

ちょうどその頃、ある一冊のゲーム関連本の付録として、カルネージハート全国大会優勝者のロボットAIがついてくることを知り、どんなものかと書店で購入してみることにしました。

そして、早速、ものは試しとばかりに私が作ったロボットとその全国大会優勝者のAIとを対戦させてみましたが、まったく歯が立たず、ボコボコにやられてしまいました。

「いったいどこが違うんだろう。」

そう思った私は、全国大会優勝者AIのプログラミングを検証してみることにしました。すると、その内容は驚くほどシンプルで、行動パターンが数種類しか組み込まれていませんでした

一方の私はというと、様々な状況に対応できるように、ごちゃごちゃと様々な行動パターンをロボットのプログラミングに組み込んでいました

テクニカル分析の海に溺れそうになってあえいでいたとき、ふとこのことが記憶としてよみがえってきたのです。

「今の自分はあの時と同じことをしている。すべての相場状況に完璧に対応しようとした結果、逆にトレードに必要な判断力や柔軟さが失われてしまっているのではないか。」

そう思い、「できる限りシンプルに」と自らに言い聞かせて、インディケーターの数も3つまでと上限を決めて再びチャートと向き合うことにしました。

それまでチャート上に何種類ものインディケーターを表示させることに慣れていたため、当初は何だか物足りなく

「本当にこれでいいのか」と迷う時もありました。

しかし、そのようなスッキリしたチャートを観察することをしばらく続けているうちに、いままでインディケーターのサインを追うことばかりに気をとられて見えていなかった価格の微妙な値動きが何となく感じ取れるようになっていきました。そして、不思議なものでその頃から成績も徐々に上向きはじめたのです。(その3につづく)(執筆者:高橋 浩司)

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