雇用統計でいい数値が出ても上がらないドル円~意味するところは?


12月2日(水)の22時15分(日本時間)に発表されたADP非農業部門雇用者数増減は、予想値の19万人を上回り、21.7万人という結果になりました。さらに前回の数値も18万人から19.6万人へと上方修正され、ドルにとっては大いに勢いづく局面となったはずでした。

しかし、ふたを開けてみれば、ドル円の上昇はわずか20ppsという有り様で、上値の相当な重さが見て取れます。時を同じくして、アトランタ連銀のロックハート総裁が、「これ以上のドル高はリスク」と牽制球を投げたことも大きな重しとなりました。

事実、ドル高の被害をこうむっているとされる製造業の景況を表すISM製造業景況指数は、ついに景気の縮小・拡大の判断の分かれ目となる50を割り込み、48.6へと大幅悪化しています。

とはいえ、11月に発表された数値に引き続き、12月もこのように雇用面で堅調な数値が出たとなれば、本来はもう少し盛り上がってもおかしくないのですが、ADPが20万人オーバーで市場がなにも驚かないとなると、もはや完全に利上げは織り込み済となったと判断しても良いでしょう。

つまり、利上げへのポジションメイクはすでに大半が完了しており、残るは金曜日に発表される本丸の雇用統計で最終確認といったところでしょうか。よって、雇用統計で30万人を超えるような数値でも出ない限り、ドル円の上昇余地は限られていると言えます。

そして、再三お伝えしているように問題は利上げ後でしょう。

アメリカの景況を判断するマインド系指数のなかでも特に重要視されている、シカゴ購買部景況指数の11月における数値は48.7であり、こちらも判断の分かれ目となる50を下回ってしまっています。

つまり、見方によっては景気が拡大局面どころか縮小局面にあるのにもかかわらず、これ以上バランスシートを拡大していてはアメリカがゼロ金利という「麻薬漬け」になってしまうと判断しての、仕方なしの利上げが12月に行われるというわけです。当然、麻薬を断ち切る「リハビリ」も厳しいものになることは想像に難くありません。

筆者としては、毎回やたらといい非製造業と雇用の数値が、どこかで化けの皮が剥がされるのではないか…とみています。ともあれ、目下は利上げ直後の大きな変動に注意したいところですね。(執筆者:大島 正宏)