実は世界経済全体では景気減速していた―うまみのない円キャリー


ゼロ金利を貫いている日本と、利上げをするかしかしないかではなく、いつ利上げをするかといったムードに包まれているアメリカなどを始めとする諸外国との金利差が、円で資金を調達して市場トレードを行う「円キャリー取引」の原因となっているところは良く知られている通りです。

この過程では、円が低金利で借り入れられ、次々と外貨に換えられるため、円は円安方向に向かいます。これがドル円の値に大きく影響していることは間違いありませんが、それではこのところどうにもドル円が伸び悩んでいるのは一体なぜでしょうか。

「値ごろ感」、「円売りポジションが溜まりすぎている」などが主だった理由として挙げられますが、新たな説として、世界経済の減速が原因ではないかとするものがあります

この説によれば、年初の予想では3.0%まで伸びると言われていた世界経済の成長率ですが、今年前半の成長率はわずか1.9%に留まっています。こういった景気の鈍化は、諸外国と日本との金利差を縮めてしまうため、わざわざ「円キャリー取引」を積極化させる理由がなくなりかけている、というのです。

こういった世界経済の減速がここから先深刻化していくとも思えませんが、この説のとおり、ドル円の頭を押さえつけている一因となっているとは言えそうです。ひとまず利上げムードが高まるにしたがって、新興国の通貨安などが叫ばれることは間違いなさそうなので、利上げが実際になされた後の本格的ドル高到来局面の前に、なんらかのリスクオフ・ムードが顕在化してくる可能性には着目しておきたいところです。(執筆者:大島 正宏)