人民元切り下げでユーロシフトの理由とは


お気づきの方も多いと思いますが、8月11日の中国による人民元の大幅引き下げを受けた国際金融市場の混乱状態の中で安全逃避のためにユーロ資産シフトが顕在化しています。これまで安全資産といったときにまっさきにユーロなどとはならなかったことがほとんどですが、今回の中国の件では明らかにユーロ買いが目立つようになっているのです。この理由をさぐってみました。

まわりまわってユーロ買いという複雑なロジックが展開中

人民元の切り下げは当初はドル高を加速させることになりましたが米国市場には、FRBの9月利上げここへ来てかなり怪しくなってきていることに加え、中国のいわば金隣国窮乏政策に対抗するためアジアの新興国が挙って通貨安競争の構えを見せるようになっており、かなり状況が微妙になっていることが大きく起因しているといえます。

特にこのままドル高加速が継続した場合には米国経済への悪影響は免れない状況で、元の切り下げで中国からの対米輸出の再拡大が進むようなことがあれば米国の企業・雇用への打撃も避けられなくなるため、米国がドル高をけん制する可能性は極めて高くなってきていることから、ここではあえてドルに流れずに割安感のあるユーロへと回帰する動きが顕在化しているのです。

ドイツ国債買いが加速で金利低下なのにユーロ買いという複雑構造

安全資産逃避のためのドイツ2年債への買いも急激に進んでおり、独2年債金利は、12日には-0.290%と過去最低水準にマイナス幅を拡大させることとなりました。
これまた分りにくい構造ですが、ドイツの金利が大幅低下しているのにユーロが上昇している理由としては、完璧にこれまでリスク時の逃避通貨として機能してきた円の代わりの安全逃避の受け皿になってきていることに加え、これまでの大量なユーロ売りのポジションのまき戻しが根底にあるものと見られます。

こうしたユーロ回帰というのはすぐにはなかなかそのロジックが分りにくいものですが、実はこのような回りまわった発想がユーロドルにおけるユーロ高を醸成し、ユーロ円もご相伴にあずかっていることがわかります。ユーロドルは1.1029を超えてダブルボトムを形成する動きを見せましたので上方向に上昇する可能性もかなり高まってきているように見えます。(執筆者:坂本 博)