金相場から引き上げられた資金はどこへ?


今にも1000ドル割れを起こしそうな金相場ですが、ブルームバーグによれば800-900ドルまで下落しそうだというレポートが出ています。一時は2000ドルを目指すと言われていた金ですが、なぜこれほどまでに下がったのかと言えば、ひとえに「商品としての魅力を失ったから」とのことです。

しかし冷静に考えてみると、商品としての魅力とは何でしょうか。

インドや中国など、これまで大きく市場を牽引してきた国々の金需要は景気が腰砕けすれば多少は下がるでしょうが、もともとこれらの国は投資としてより、婚礼品などの実需的側面から金を欲する傾向が強いため、いくら景気が悪くなったからと言って突然半減するわけではありません。

事実、香港に行けば、数百メートル毎に、金をふんだんに用いた宝飾品チェーンが今なお軒を連ねている有り様で、魅力がそこまで下がったとはとても思えません。

とすると、やはり大きく値を下げた理由は、投機対象としての魅力が失われたことによるものでしょう。ドル安・株安が続いていた頃とはうって変わって、現在はドル高・株高真っ盛りといった状況です。わざわざ金に投資する積極的理由がないということです。

ですが、このドル高・株高もまた、一時の金相場と同じである可能性はないでしょうか。

資金が全ての市場から消え去ることはありませんし、常にどこかへ投資されています。商品市場から引き上げられている資金が、ドルと株に「ブチこまれている」だけだとしたら?

一時期の金相場への傾倒が異常であり、現在のドル高・株高は正常だ、という見方は相場観を歪ませるもとです。波のように大きくうねりを上げて襲ってきたものは、引き際も大きいものです。金の需要を削いでいるはずの中国によるきな臭い動きが、意図せずしてリスクオフを形成し、金回帰へのトリガーとならないことを願うばかりです。(執筆者:大島 正宏)