再び強まるドル高スパイラル、上がらないドル円


ギリシャ騒ぎが一旦の落ち着きを見せたせいか、以前ほど話題とはなっていませんが、再びドル高傾向が強まりつつあります。主要通貨に対するドルの強さを表した指標であるドルインデックス(DXY)をみると97.55と、前回つけた高値の100.39に接近しています。このドル高を演出している主役がユーロであることは疑いようがありませんが、密かに商品(コモディティ)の下落もドル高に一役買っています。

商品先物とドルの逆相関関係については、これまでも金相場や原油相場に絡めて何度かお話したと思いますが、誤解を恐れず至極単純に言ってしまえば、商品から現金に替えようとする傾向が強まると、必然的に貨幣、つまり世界で最も使用されているドルの需要が高まるといったところでしょうか。

これについては、一重に中国の景気減速が原因といっても良く、原油や金の最大の需要国の経済が破綻しかかっているとあっては、急激な下落も無理はありません。げんに原油は再び50ドルを割り込み、金もボトムラインを底抜し、1000ドルを割ろうかという勢いです。

さてこうなると、経済の失速を起こすのが、コモディティの供給手である資源国です。資源国の経済停滞は金融緩和へと舵を取る原因となるので、豪ドルやNZドルは下がり、更にドル高を生み……。

このようにして、全てのベクトルがドル高へ向いているのげ現状です。もちろんこういった傾向は、ドル円にとっては追い風のはずなのですが、円安牽制などもあって、完全に頭を抑えられています。こういったシーンで、以前オバマがドル高を牽制したように、政府高官から何らかしらの「口撃」があった日には、一気にドル円の底が抜けても何もおかしくはありません。

もちろん中長期的には日米金利差が開いている限り、ドル円は上目線で間違いないのですが、ドル高なのにドル円が上がらないという状況だからこそ、短期的にはとにかく注意したいです。(執筆者:大島 正宏)