乳価でみるとNZドル上昇は絶望的



〈Photo:Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/apps/data?pid=avimage&iid=ikygAcLnznz0〉

ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)は、大方の予想どおり政策金利を3.25%から25ベーシスポイント(bp)引き下げ、3.00%にすると発表しています。中銀のウィーラー総裁は声明で「経済見通しの悪化と低インフレを踏まえると、政策金利の引き下げが正当化される」とし「現時点である程度の追加緩和が見込まれる」との認識を示唆しています。こうなるともはやNZドルは高金利通貨とはいえない存在になりそうですが、その背景はどこにあるのでしょうか?

乳価は過去10年で最も安い価格に暴落中

Global Dairy Tradeが公表している乳価の価格推移が以下のグラフになりますが、特にこの1年が最高の価格下落に直面していることがすぐに理解できます。2013/14年度生乳生産ははニュージーランドの酪農家にとっては理想的な1年で、良好な気象条件から生乳生産量は過去最高を記録し、新興国からの需要増加が重なり乳製品輸出も好調に推移することとなりました。

乳価は乳固形分1キログラム当たり8.47NZドルと過去最高を記録したわけですが、その後は一転して、主要輸出国の生乳生産の増加と中国の需要緩和が重なり、乳価は実に6割下落してしまったのです。

こうした動向は、乳価が乳製品の国際需給に大きく左右されるという、この国の酪農乳業の避けがたい産業構造を直撃してしまっているといえるのです。日本で言えば100万円で売れていた主力の自動車が40万円の価格になってしまっては為替を調整する以外にはやっていかれないのがニュージーランドの実情となってしまっているのです。

おそらくこの調子ではさらに利下げをして自国通貨を切り下げていかないことには農家を守れない状況になることが予想されます。今後今年いっぱいはNZドルの買いは十分に気をつけなくてはならない時期が続きそうです。特にスワップ狙いで考えるのはもはや危険なマイナー通貨になりつつあります。

(執筆者:坂本 博)