ドル円はどこまで上がるのかという不毛な予測について


強い米国の雇用統計結果を受けてドル円は125円台後半に差し掛かっています。この調子でいけば126円にタッチするのも時間の問題かと思われますが、市場ではどこまでドル円が進むのかという不毛な予測展開もはじまっています。

とある店頭FX業者のタイアップ広告原稿には150円台も視野といった話が登場していますが、実際テクニカル的には134円台ぐらいまで節目がないのも事実です。過去の上昇ではどうなっているのかについて三菱東京UFJモルガンスタンレー証券がチャートにまとめているので拝借してみてみると次のようになります。

これでみてみると95年から98年の40ヶ月上昇で85%超の戻りが上昇局面では最高で、正直プラザ合意以前の話はほとんど参考になりませんので90年以降の動きがもっとも参考になる動きとなります。

株価の連騰もなかなか記録が破られないのと同じで特定通貨ペアだけが猛烈に長期間続伸するためにはよほどの条件がそろっている必要があるのです。

この98年と同じ上昇率をたどったとしても実は139.40円レベルが限界で140に達するのも難しそうな状況です。もともと神様しかわからないであろう相場の動きをどこまで上がるかを必死に予想してみても時間の無駄ではないかと個人的には考えていますが、まったく予想できないものでもないと言えるのです。

130円を超えるレベルは円買い介入実績のゾーン

1990年以降日本は二回円買い介入をしています。最初は1991年で二回目が1998年ですが、どちらも130円を超えて介入しており、現在のレベルはそれにきわめて近いものであることがわかります。過去の事例にしたがえばそろそろ円買い介入がでても不思議ではないゾーンということになるのです。しかしここで今度は円買い介入と言われてもにわかに納得できるとはほとんどのFX個人投資家の方が思われているのではないでしょうか?

アベノミクスの唯一の成果物が株価上昇

アベノミクススタート時の日経平均の終値は8668円で既に株価は2.4倍にまで跳ね上がっています。これはご存知のように典型的な金融抑圧政策でGPIFをはじめとするPKOと日銀がETFを買い捲った結果で日銀の国内ETF保有額は6兆8000億円を超えています。

確かにこれで企業の内部留保は増え、自社株買いの原資になりましたしすずめの涙の定期昇給にもつながっていますが、円安も平行して行ったことが企業収益を見かけ上押し上げたたけなのが実態で企業の本質的な景気はそれほど回復していないのが実情です。したがってここで迂闊に円買い介入などしたら株価まで逆走しかねない状況で、これまでのようにドル売り円買い介入ができる状況とは思えないのです。

1998年の介入時米国債のプライマリーレートは5.5%

98年の介入時が参考になると申し上げましたが、このときの米国の債券金利は5.5%で日本はこの時点でほとんどゼロ金利でしたから、金利的な視点でみればドル高状況は理解できます。しかし現在のドル円環境は米国の10年もの国債の利率が2.4%前後をうろついているわけですから金利の上昇がこれからはじまる局面ではよりドル円は上昇してもなんらおかしくない状況にあり、介入があるとしても口先介入だけで、しかもそれも徐々に効果がなくなることが予想されます。

いよいよ悪い円安レベル?

為替市場は常に暴力的で上限や加減について政府関連筋から介入を示唆する発言があると、かならず投機筋が本当に介入するかどうか試しにいくのがある意味で慣わしになっています。したがってこうした悪い円安モード、だれも望まない価格水準に達しても市場はだれもレベル感を気にしないという恐ろしい習性があることだけは覚えておく必要があるのです。

150円を目指すと言い切るのはナンセンスですが、130円までは行かないでしょうとい妙なレベル感をもっていると大やけどする可能性はあると言えます。

ただし、欧州債の金利もまた上昇しており、ドルインデックスも一方的な過熱感をもっているわけではないですから、簡単には130円までリニアに到達するとも考えにくい状況です。過去の動きを見ているとどんなにあがる相場にも必ず終わりがやってくるということだけは唯一正しい結果です。(執筆者:坂本 博)