既に経済問題から安全保障問題にシフトするギリシャ債務危機問題


ギリシャ議会の議長が自らDue Dateを設定した6月5日がとうとうギリシャ債務の最終日として注目されるようになってきました。

もはやギリシャ政府筋がメディアに答えている債権者との交渉状況とEU側、あるいはドイツ側から聞こえてくる内容には、同じ案件の話とは思えないほどのずれが出始めており、調子のいい話がでるたびにユーロは着戻されますが、その後また下落するとった状況からなぜか下値を切り上げて5月末を終えています。

ギリシャについに登場しはじめた中国

これまでチプラス首相がロシアとの接点をもつことにドイツのメルケル首相も安全保障上の観点から苛立ちを隠せない事態が続いてきましたが、ギリシャではEUからの金融支援受け取りの条件となっていた国有財産の売却問題にとうとう中国が登場してきており、俄然注目を浴びるようになってきています。

ギリシャ最大の港であるプレウス港の民営化交渉が再開したことを受けて中国遠洋運輸という会社など中国系企業3社がこの港の入札に参加することが発表されたのです。

これは例のAIIBの融資にも一脈通じるものでギリシャの港を中国が手中に収めることにより中国製品の欧州での陸揚げの戦略拠点化が実現する可能性がでてきているというわけです。

陸続きの要所に中国の拠点ができてロシアと連携したり北アフリカの不穏分子と連携をはじめると、大変なリスクが欧州に降りかかってくるので、ギリシャの債務額の取立てどころではなくなる可能性がでてきているのです。

ギリシャ問題にもっとも危機感を抱いているのは実は米国

これまで素知らぬ振りをしてきた米国ですが先週のドイツでのG20財務相会談の席上も米国のルー財務長官がなにやらギリシャのチプラス首相に電話をしたと行った話しも聞こえてきており、米国はドイツ・メルケル首相に何がなんでもGrexitが起きて中国、ロシアがギリシャに雪崩れ込まないよう厳しい警告をしているようです。

EUの信任上の問題からIMFへのギリシャの返済は後押しさえざるを得ない?

EUとしてはIMFに対するギリシャの返済が滞ることになればEUとしての信用上の問題も起きることからとりあえずこの分についてはなんらかの形で資金供与をせざるを得ないのではないかという話も飛び出してきています。

しかも残りの問題も追い詰めると背後で中国がおいでおいでしているという状況を考えると、ここまで来てもドイツはギリシャを追い詰められないのではないかという憶測も高まってきています。

このままだとまさかの安全保障上玉虫色決着でユーロがまたしても大きく買い戻される可能性もでてきているのです。それが雇用統計とちょうど日にちが重なる6月5日になんらかの形で噴出する可能性がでてきています。さてどうなることやら・・・(執筆者:坂本 博)