FOMCイエレン発言で鮮明になった長期停滞論ベースのリスクシナリオ


FOMCの結果とその後のイエレン議長の発言を受けてドルは利上げ期待感の後退から大幅に売り込まれることとなりました。とくにロンドン勢のドル円売り浴びせはさすがのアニマルぶりを発揮し122円50銭を割らんばかりの勢いとなっており、ここでもう一押し下方向が示現すれば121円台方向への調整も現実化しそうな気配です。

ビハインド・ザ・カーブが鮮明の状況に

イエレン議長の会見というのもご本人のしゃべり方のせいもあるかと思いますが、問題発言を起こさないようにほとんど新しいことを口にしない雰囲気で日銀・黒田会見に劣るとも勝らない面白くなさですが、それでも聴いていますとその発言の根底にローレンス・サマーズの長期停滞論がリスクシナリオの下敷きとなり始めていることがかなり鮮明になりつつあります。

昨年末までは長期停滞論が存在するという見方はFOMCにはないとさえ口にしていたイエレン発言からするとえらい宗旨替えとも思われる状況で、ビハインド・ザ・カーブ、つまり利上げ後退は鮮明になりつつあります。巷ではバーナンキ前議長とローレンス・サマーズ自身がこの長期停滞論をめぐってブログで大論争をしている最中ですが、どうやらFedはこれを支持しているように見受けられます。

FOMC声明発表時に公表されている参加委員による政策金利見通しであるドットチャートも鮮明に下方シフトし始めていることがわかります。年内利上げ宣言をしておきながらこういう状況なの?というのが正直な印象で、ドルが大幅に売られるのもわかる内容といえます。

タカ派のフィッシャー前ダラス連銀総裁もタカ派返上?

ここのところのFRB関係者の発言で注目されるのは3月に退任したタカ派のフィッシャー前ダラス連銀総裁のものいいの変化です。いつでもチェックアウトできるが決してホテルを去ることができないホテルカリフォルニア化するリスクが金融政策にはあったという名言でおなじみの同氏が1937年の過ちは繰り返したくないと、すっかりレイダリオの予言に感化されたような発言をして市場をびっくりさせているのも注目されます。

結局市場が考えているほど米国景気はよくないということか?

イエレン議長は何度も、今後の利上げはデータ次第を連呼して利上げがなくなったわけではないことを強調していましたが、結局のところ米国の景気はそれほど回復していないことを彷彿とさせるのが今回の会見内容でした

その昔、水前寺清子の365歩のマーチという3歩進んで2歩下がるなどという牛歩の歩みのような歌がありましたが、この調子では12月までこのような前に進んでいるのか逆走しているのかわからない動きが続きそうな気配です。

ドル円は当面上値の重いレンジ相場を形成か

さて、今後のドル円の動きですが、完全に125円台後半がピークとなって122円台が当たり前の気配になってきています。冒頭でも書きましたがさらにレンジを下げる可能性もでてきており、しっかりチャートを見ながら下値を慎重に拾うことが重要になりつつあります。

日本の貿易赤字額も月次で前年比かなり減少していることを考えても円安の支援材料がどんどん希薄になっていることは間違いありません。今回またしてもドル円がどこまで上昇するのかの議論が不毛なものになってしまいました。 (執筆者:坂本 博)