日銀による金融抑圧相場のおかげですっかり機能しなくなった値幅調整


相場には値幅調整と日柄調整のふたつの調整局面が存在します。

相場は上昇をはじめると多くのトレーダーが順張りで買いについていくことになりますが、こうして買いあがったところで必ず調整が始まることになります。

ひとつは売りに回る人間がでることからいったん価格が下がって落ち着く値幅調整で、もうひとつが下がりそうでさがらず日数がたって膠着する日柄調整となります。

日銀の金融抑圧政策のおかげでまったく機能しなくなった値幅調整

ところが、日銀が量的金融緩和を発表し、自行で国債とETFを購入し、PKOと称される準公的機関が相場の下値を支えるようになってから、すっかりこうした相場の調整機能が働かなくなってしまっています。

この動きが顕著なのは日経平均で、前日に対して一定のマイナスがあると360億程度のETFを日銀がせっせと事務的に購入するわけですから調整のしようがないのが実情で、値幅で調整しないため、時間で調整する日柄調整だけに依存することとなり相場はとかく膠着しがちです。

これは為替相場でもまったく同様で、ここ2年でドル円相場が長い膠着の均衡を破ったのは日銀の緩和と追加緩和が発表されたときだけで、それ以外は停滞する時間も長くなってきているのです。

相場が自律調整能力を欠くと必ずひどい仕返しがやってくる。

こういう、ある種の捏造相場のような時期が続くと、必ず相場をコントロールできない時期が到来することというのは過去にも何度も現実の問題として証明されています。

つまり政府が相場をコントロールできると過信することがもっとも危ないものにつながっていくことになるのです。すでに日銀が2%の物価目標を掲げて金融緩和に踏み切ってから2年3ヵ月近い時間が経過していますが、どうもこの政策の本質は2%の物価目標達成ではなく、それを口実にした国債の買い入れで金利を上げないことのほうに力点が置かれているように見え始めています。

むしろ景気がこのまま悪いほうが日銀にとっては都合がいいとも言えるのです。この2%目標が達成された途端に金融緩和に対する大義名分はなくなります。

この大幅な反動と思われる動きが何をきっかけにして起こるのかはなかなか予期できないものですが、米国の利上げがその大きなきっかけになる可能性はかなりありそうで、すでに国債金利の世界でこれまでになかったようなアンワインドの動きがではじめていることが非常に気になるところです。

またドル円の上昇は125円をつけたことで75円からの長期上昇局面を終えたと分析するアナリストもではじめており、単に黒田発言だけで流れが変わったわけではないことについても注意が必要な時期に差し掛かってきています。(執筆者:坂本 博)