湧いて出てきた円暴落論、男気はあるが…根拠はない!


円高の頃、「1ドル70円を割る」という論調が盛んに聞かれました。元日銀でJPモルガンのチーフストラテジストが「円高は構造的に延々と続く」といったような書籍を出版したり、極端なものになると、同志社大学の教授が「1ドル50円になる」などとメディア盛んに主張している姿もしばしば見受けられました。最近これらとは真逆の論を説いた、「円の価値が暴落し、1ドルは150円になる」という書籍が話題を博しています。

このジャーナリストによれば、1ドル150円はもはや既定路線とのことです。この著者は、一貫して超円高時代から円暴落論を提唱していただけに、厳しい冬の時代を耐えぬいて、ようやく彼が時代の寵児になるターンが回ってきたと言うのが適切でしょうか。一体どうやったら150円になるんだ、と突っ込みたくなりますが、数年前には1ドル50円説が一世を風靡していたのですから、世の中そういうものなのでしょう。

しかし、こういった極端な例を提唱し続ける人間は「男気」があるかも知れませんが、いわば同じポジションを持つトレーダーにとってのお守りのようなもので、私は理論としては全く信用していません。不思議に思われるかもしれませんが、私が信用できるのは、むしろ言うことが二転三転するようなアナリストです。

相場は一定方向に必ず動くわけではありません。市場は刻一刻と変化しています。何がトレンドを形成するかさえも一定ではありません。風向きが変われば、状況によって見方が変わって当たり前なのです。極端な話を言えば、5分前と言っていることが180度変わってもいいのです。

彼らは、預言者である必要がありません。目の前で損を垂れ流しているポジションにいつまでも固執する意味は全くありません。彼ら、そして何よりも私たちが求めるのは、目の前の利益です。ロスカット寸前のポジションを持ったまま、チャートを前に祈ったりしていませんか?

もちろん時には腹の据わったポジション獲りも重要でしょうが、祈っていてばかりではチャンスが逃げていくだけです。皆さんもぜひ、極端な相場観を信奉するよりも、状況に応じて自在に思考を二転三転するようなトレーダーになりましょう。(執筆者:大島 正宏)