日銀にはさらなる追加緩和の余地はもうない? 日銀を取り巻く厳しい状況


黒田バズーカによる量的金融緩和が始まってから既に2年、資金としても80兆円近いお金が投入されましたが、結果として2年2%という公約は後ずれさせざるを得ない状況となっています。

今週発表となるGDP次第では海外の投機筋からまたしても追加金融緩和の声が高まりそうですが、実はもはやそう簡単に追加緩和ができる状況ではなくなってきていることが様々なデータから予想できるのです。

既に日銀のバランスシートは300兆円を超える水準に達成

1月のスイス中銀の無制限介入突如中止宣言・いわゆるSNBショックはまだ記憶に新しいところですが、このSNBもGDPの7割が外貨準備高となったことから、それ以上の介入を断念せざるを得ない状況となっています。

日銀の300兆円のバランスシートは既にGDPの6割で、今宣言した規模で緩和を行っても来年には7割に到達することは間違いない状態となっているのです。

ここまでくれば300兆も400兆も大して変わらないような錯覚に陥りますが、日本の税収は年間たった50兆円で、しかも公務員の人件費だけでも27兆円もかかっているのです。

日銀といえどもこれ以上のバランスシートの拡大はかなり厳しい状態です。なにより日本の3倍以上のGDPを誇る米国のFRBですら4.5兆ドル、日本円で540兆円ですから、日銀の抱え込んでいる債券等の規模の大きさが改めて意識される状況です。

既に国債の買い入れは札割れ

2年ほど前から買入れている国債も最近ではマイナス金利にしても札割れを起こしており、既に市中から買付けるのは難しくなっていることを示唆しています。銀行は日銀の金融調節や金融派生商品取引の際に担保として国債が必要となっており、これまでも日銀に脅かされて国債を放出してきていますが、もはや既に限界に近づいているのが実情です。すでにこの段階で今年70兆円程度増やすとされたマネタリーベースですら実行不可能に直面しているのです。

ECBを真似た付利のマイナス金利も実行不可能

ECBは民間銀行が預け入れる預金をマイナス金利にすることで市中に資金が出回るようにすることに成功していますが、日銀では付利は残されたままで、しかも今回の金融緩和で国債買取から市中に出回ったはずの資金の殆どは銀行経由で日銀の当座預金に戻ってきてブタ積みされているだけというのが実態です。

ブルームバーグの直近の報道ではこの付利の撤廃や引き下げなどの可能性が指摘されていますが、これはある意味で日銀から民間銀行への補助金の役割を果たしており、簡単には撤廃できないのが実情です。

また短資会社などはこの利息があるからやっていけている部分があり、完全に付利がゼロになるとその経営にも影響がでることは必至の状態です。財務省からも短資会社には多くのOBが天下りしている関係もあってこの付利の撤廃はそう簡単にはいかないわけで、追加緩和に利用するのは事実上絶望的といえます。

黒田さんはいくらでも買い入れるものはあると豪語するが・・

日銀黒田総裁は今後も緩和措置として買い入れることのできものはいくらでもあるとしていますが、中央銀行でETFのようなリスク資産をどんどん買い入れているのは実は日本以外にはないのが現状で、債券買い入れというのはそれほどフリーハンドではないと言えます。

また国債以外の買い入れ拡大に難色を示す経営陣も日銀には多いと言われ、話はそう簡単ではなくなっています。いまやETFを通じてファストリの大量株式保有に日銀の名前がでるのではないかという話も登場するぐらいの状況で、債券の買い入れは厳しさを増してるのです。

よほどのことがない限りQEの追加はありえない

こうした状況から、QEがまたサプライズ的に起きると期待するのはかなり難しそうです。

黒田総裁は財政規律が守られないなかで財政ファイナンス的に政権に資金を提供する現状を危惧しはじめており、むしろ出口を考え始めているとも言われています。

海外勢が日銀の追加緩和期待で相場を上げるところにはついていき利益をしっかりいただくべきですが、失望売りが出る前に売りでも利益を確保するぐらいしか今後日銀のQEネタでの儲け口はなさそうな状況です。

特に政権と日銀との不協和音は日に日に大きくなってきており、多少の株価の下落やGDPの伸びの縮減ぐらいでは追加緩和を期待するのは無理と言えそうです。 (執筆者:坂本 博)

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