債券金利を侮ることなかれ! 6月FRB利上げの目はまだ残されている


欧州の債券相場における債券売りと金利の上昇は一旦落ち着きを取り戻したかのように報道されていますが、債券相場は為替や株のように単純な相場ではありません。この相場の急落で金融機関やファンドの中には大きな損失を抱えているところが多く、まだ殆どがその含み損を切り終えていないのが実情です。

クオンツ系の裁定取引やハイレバレッジのポジションは損切りを余儀なくされているようで、少しでも相場が戻せばまたぞろ売りがでることは間違いない状態です。市場が落ち着きを見せているなどという報道は真っ赤な嘘といえます。

殆どの市場参加者はECBのQEを見込んでマイナス金利であっても挙ってドイツ国債などの購入に奔走しましたが、これが完全に裏目に出る展開となっているのです。こうした債券金利の上昇は欧州各国全般だけでなく米国や日本にも波及してきており、当分続きそうな状況となっています。この状況がFRBの利上げにも確実に影響を与え始めているのです。

FRBイエレン議長の発言は6月利上げのティーザーか?

そんな中でFRBのイエレン議長とIMFのラカルド専務理事が討論会に出席した際にイエレン議長の口から株価は割り高で債券も高すぎると言った発言の真意に様々な憶測が飛んでいます。

しかし現状の高い債券金利状況を考えれば、来年の大統領選挙で民主、共和両党から金利の正常化を求められているFRBがこの6月にアリバイ的に1.25%の金利を上昇させる可能性はまだ残されており、イエレン発言がそのティーザーとして実施されたのだとすれば、いまや誰も口にしなくなった6月利上げはまだ可能性がかなり高く残されているといえるのです。

6月末のイランとの核兵器禁止

オバマ大統領は6月末にもイランとの核兵器禁止条約の締結を実施しようとしています。

これで本当に核兵器が凍結されるかどうかは別としてレイムダック化するオバマ氏の最後の仕事としてこれが締結される可能性が極めて高くなってきているのです。

ただ、この条約が締結されると、イランの原油生産は再開されることになり、現状で4割ほど戻した原油価格が再度下落する可能性は高くなります。

したがってその前の6月19日に一応の利上げ要件を満たしている状態で本当に少しだけではあるものの利上げをすると言う可能性は、この視点から見ても整合性が出てきているのです。

株価は暴落しても既にS&Pは史上最高値を更新しており影響は軽微

当然利上げ発表直後は株価も大幅下落し、ドルは上昇することが予想されますが、現在史上最高値を更新中のダウが2000ドル急落しても1万6000ドルを割る可能性は極めて低く、しかも為替もユーロ圏の債券金利が大幅上昇している中では、一方的にドル高にはなりにくい下地があることは間違いないのです。

FRBはサプライズを避けるためにイエレン議長の口から、市場に事前警告を発し始めているとみるのも頷ける部分がかなりあると言うわけです。

6月まさかのドル円125円方向?

エリオット波動的にはすでに高値をつけきったように見えるドル円ですが、こうした人為的な要素が絡む場合は動きはまた別のものとなります。

経済指標を含めてドルが再度上昇する可能性は見出しにくいわけですが、ひとつのシナリオとして6月利上げ、ドル瞬間再上昇というケースも引き続き考えておく必要はありそうです。特に債券金利のことを甘く見ていると結構大変なことが起きる可能性もあるのです。(執筆者:坂本 博)