中国の経済指標を笑えない 米国の雇用統計はなぜ毎回ぶれまくるのか?


11日FRBから動労市場情勢指数(LMCI)いわゆるイエレンダッシュボードが発表されましたが今月は1.9ポイント低下となり2ヵ月連続の低下となっています。また前回は0.3ポイントの低下から1.8ポイント低下にリバイスダウンしています。

8日に発表された4月の雇用統計もほぼ事前予想並みであったものの、3月分が大幅に下方修正され、そのくせ失業率は低減という、非常にわかりにくい内容となり、発表後市場ではその消化にかなり苦心させられたことが相場の動きから見てとれます。

外為どっとコムが当日の動きをYouTubeに公開していますのでリアルタイムでごらんにならなかった方はこちらをどうぞ

https://youtu.be/fhqHZV0DHRQ

さて、毎回発表されるたびに驚きの結果となりがちな米国の雇用統計ですが、なぜこんなにぶれるのでしょうか?

アトランタ連銀が発表している労働参加率の推移をみていますと、決してその参加率は向上しておらず、この状況下での失業率の改善はほとんど意味がないことを示唆しています。

ぶれまくりの主な原因は調査方法と発表タイミング

改めて米国の雇用統計の調査方法を確認しておきますと、まずNFP・非農業部門雇用者数については、自営業、農業従事者以外の民間事業者役30万から50万社(従業員ほぼ5000万程度)を対象に労働省がヒアリング調査を行い、給与が支払われたかどうかを重視して就業者を特定することになります。

ただ、調査結果はあくまで毎月第一週に間に合う形で回答があった事業者からの数値だけをまとめて速報で回答するため、気象状況などの変化等さまざまな事情で回答が遅れると、実は速報はほんの一部の数値をベースにして作成されるため、翌月になって回答がより集まった時点で大幅にその結果がリバイスされることが頻発することになってしまうのです。

また失業率のほうは、約5万~10万の各家庭に労働省が面接調査をしており、失業者は4週間以内に就業活動をしたか否かで定義されることになります。したがって8週以上職探しをしたけれどあきらめて就業活動をやめた層はまったくこの中に含まれないのです。

また前者のNFPと失業率の対象となる家庭はなんら関係性のないサンプルから別個にカウントされるので、NFPは悪化したが失業率は改善するといった齟齬が頻繁に発生するのです。

こう書いてしまうと、何このデータ? という話になってしまいますが、ただこうしたお粗末な集計方法で発表されていることは紛れもない事実となっているので、果たしてこれを基準にして本当に利上げ判断に遣うのか?という大きな疑問が生じることになります。

4月の雇用統計結果を受けては、株式市場は利上げ後ずれの可能性を好感して大きく株価が上昇することとなりましたが、ロイターの調査では依然9月にアリバイ的に利上げの可能性を指摘するアナリストが多いことを示しており、各市場ともにいいところ取りをする結果となっており、大きな流れの変化にはなっていません。

ただしドイツ国債の利率上昇とともに米国債の利率も大きく上昇しはじめており、欧州発での大掛かりな市場のアンワインドの兆候も依然見られているため、引き続き市場を注意深く見守る必要がありそうです。 (執筆者:坂本 博)