これ以上のドル高はあるのか?


 ドル高によってアメリカのGDPが0.6%押し下げられたというレポートが先日発表されました。指標からも、2つのISM(製造業景況指数と非製造業景況指数)のうち、非製造業の伸びが順調である一方で、製造業は成長と縮小の分岐点である50ギリギリを上下するなど、明らかにアメリカの根幹である製造業の停滞が伺えます。政府のまとめた報告書でも、やんわりと円安やドル高に対する牽制が出はじめた中、果たしてこれ以上のドル高は起こりうるのでしょうか?

 結論から言えば、まだまだドル高は中長期的に起こりうると思っています。なぜならば、出口戦略を模索しているアメリカと、緩和を続けなければいけない(もしくは緩和を検討するほど景気が悪い)日欧とでは、明らかに状況の乖離があるからです。この流れが、何らかの圧力や政策変更によって強制的に変えられもしない限り、行くところまでドル高は行くというのが現状での私の考えです。

 ただし、現在のドル高の流れはいくらなんでも急すぎます。特にポンドやユーロなどは連日100pp以上続落を繰り返しており、明らかにオーバーシュート気味です。「谷深ければ、山高し」という言葉があるように、反動も恐ろしいものになることが予想されます。

 また、ドル円に関しても、これだけドルストレートでドルが買い込まれていながら、全く上昇するそぶりを見せません。本日も日経平均が一時的にせよ2万円という大台を達成したのにも関わらず、東京時間でのドル円の変動値幅は20pp以下というお粗末なものでした。

 そのくせ、ドルストレートが反発する(つまりドルが売られる)局面では過敏に下値をトライする傾向が出ています。

 先述したアメリカ政府の報告書に記されていた「金融政策に頼りすぎでは」という批判に加え、国内でも某保険大手の代表が「これ以上の追加緩和は望まない」という発言をしたり、政府関係者からも「ミニバブル」という発言が飛び出すなど、物理的にも心理的にも、また内在的にも外在的にも、日銀に与えられた「金融緩和をするな」という圧力は相当強いものとなっています。

 おそらく、現在はドルストレートの噴火待ちといったところでしょうか。よって、中・長期的にはドル円はこの辺りの値を積極的にトライしていくでしょうが、短期的にはドル円の上昇余地は少なくとも現在は相当限られているように思われます。(執筆者:大島 正宏)