バーナンキとサマーズが論戦を繰り広げる長期停滞論とは・・


 先日ご紹介したバーナンキ前FRB議長が始めたブログで早速熱い論戦が始まっているのがローレンスサマーズが打ち出している長期停滞論の是非をめぐる問題です。

ローレンスサマーズという人物

 サマーズといえば三村・大竹のほうが日本では断然有名ですが、このローレンスサマーズは経済学では有名なノーベル賞学者のポール・サミュエルソンの甥にあたる人物で16歳でMITに飛び級で入学した、いわば神童というタイプの人物です。その割に性格はあまりよくないようで周囲がみな馬鹿に見えるのか女性に対して蔑視発言をしたりしていろいろ問題もある人物といえます。ハーバード大学の学長を務め民主党・クリントン政権で財務長官を務めたことで日本でも有名な存在です。このサマーズが展開しているのが長期停滞論ということになります。

長期停滞論って何?

 さてローレンスサマーズが打ち出している長期停滞論とは、国や地域において収益性の高い有望な投資先やビジネス機会が減ることにより経済成長率が低下し、その低成長が長期間に渡って続くことと定義されています。

 たとえば企業の設備投資で言えば、将来的にどれだけの収益を生むかという期待収益率が低すぎるため実質金利が下がっても設備投資がいっこうに盛り上がらないという状況をさしているのです。

 この状態は日本にも当てはまりそうな状態ですが、こうした長期停滞論の要因としては、労働人口の減少や生産性の伸び率鈍化、それらに伴う投資需要の減少などが指摘されています。

 生産性についてはイノベーションが大きな鍵になるといわれていますが、我々の周辺を見回してみるとホワイトカラーの生産性がもっとも上がっておらず、コモディティ化する業務はロボットにとって変わられそうな気配も感じる今日この頃です。

バーナンキの理論とサマーズの実践的発言

 このサマーズの慢性的需要不足を原因とする長期停滞論にかみついているのがバーナンキで、彼は景気循環と特殊要因があるという説を打ち出しています。

 議論はディテールで結構意見の異なる部分になってきていますが、注目すべき点は、この長期停滞論が今のFRBの理論的支柱になっているということです。今後の金利政策を考えるときに長期停滞論に基づいた発想であるということを理解しておくのとそうでないのとではかなりファンダメンタルズに対する見方を誤る可能性があるといえそうです。

 今この発想を理解せず、結構違った発言をしているのが日銀の黒田さんで、日銀がこの発想に同調しない場合は円高が起こる可能性も指摘されはじめています。議論の内容はぜひバーナンキのブログをご覧ください。(執筆者:坂本 博)