この夏、市場を震撼させる新たなリスク~ボルカールールの完全実施


 ボルカールールというのはご存知の方も多いと思いますが、リーマンショック以来暴走した投資銀行の自己売買取引を制限するために米国で施行される法律で、昨年実施が1年遅れてこの7月から完全実施がスタートすることになります。

既に多方面に影響続出

 米系の金融機関ではこのルールの厳密適用に向けて既に様々な取引から自己売買を撤退しはじめています。まず金の価格の様子がおかしくなったのもこの影響であると言われていますし、昨年末からの原油価格の大幅下落も投機マネーの大幅撤退に起因するところが多く、実需だけの市場になってみたら価格が大きく下落したという部分はどうも間違いないようです。ヘッジファンドの様々な領域からの撤退も相次いでおり、日本で見ている以上にボルカールールの適用に係わる投資撤退は進んでいることが伺われます。

問題は債券バブルの受け皿

 金融機関の自己売買は減るというのはあらゆる市場での取引流動性が低下することを意味しまうので、それぞれのマーケットがシュリンクすることを示唆していますし、必要以上にボラティリティの大きな相場が形成される危険性が高まっています。

 なにより市場関係者を心配させているのが、今の債券バブルが崩壊し暴落を開始したときの受け皿不在の状況です。ご案内のとおりECBのQEのおかげで欧州のそうとうどうでもいい国の国債ですら米国債を下回るような利率で取引されており、およそ尋常ではない債券マーケットが形成されつつあります。この官製バブルともいえる状態で投売りがはじまると、これまでは金融機関の自己売買部門が買い支えで市場を守ってきたことは紛れもない事実だったのですが、これからはそうした買い支え自体ができなくなることから債券暴落を引き起こすリスクを危惧する声が高まりつつあります。

 リーマンショックから6年半を経過して米国のQEも終了し、まるで正常化しつつあるように見える金融市場ですが、今頃になってこのツケが再度顕在化しそうな様相で、4月以降順次各市場から金融機関の自己売買が撤退することで価格の下落がはじまるものが出そうな状況で、ヘッジファンドの決算もからめてかなりの注意が必要となりそうです。ある意味で春から夏にかけてはこれが米国の利上げとならぶ大きなリスクになりそうですね。 (執筆者:坂本 博)