FXCMの日本法人売却に見る外資系FX業者の日本への思い入れの低さについて


4月1日付けで楽天証券に売却

 既にFXニュースなどの報道でもご存知の方が多いと思いますがFXCMジャパン株式会社を6200万ドル、日本円にして74億円で楽天証券に売却することを発表しました。

 FXCMは本国でのLeucadia社への多額な融資返済を円滑に行うための措置として日本法人を売却してその返済に充てることを決定したもので、当初は1200万ドル以下の価値しかないと言われていただけにかなりいい売却ディールを実現できたことになります。

 このFXCMは国内での立ち上がりからFXCMジャパンと名乗っていましたが、当初はGCIキャピタルに本国のFXCMが出資しGCIキャピタルの100%出資によりFXCMグループのノウハウとGCIグループのオルタナティブ投資に関する専門性を活用した高度な外貨投資サービスとして日本でも営業をしていたもので、現状ではこの会社はFXCMの100%戸外社になっていたようです。

 FXCMは様々な資産の売却で借金返済に躍起になっているようですが、真っ先に日本法人を売り飛ばしてしまうあたりに、彼らの日本市場に対する自社の事業プライオリティの低さが見え隠れします。

サービスがどのように残るのかが注目点

 直近では自社マージンを外だしにしてインターバンク直結のNDD方式をすべての取引プラットフォームに適用して話題を呼びましたが楽天証券が買い取ったあと、どのようにサービスが残っていくのかが注目されることになります。

 今回のような場合には、会社の身売りですから取引している顧客にとってはリスクはまったくありませんが、売却先の判断で今後サービスが変更されることは十分に可能性があるといえます。

 国内での事業売却となったサイバーエージェントFXを買い取ったヤフージャパンはNDD方式のC-NEXはそのまま継続していますが、MT4のプラットフォームはこの3月末でさっさとやめてしまいました。FXCMの場合もどのサービスが生き残るのかが注目されるところです。

外資系OTC・FX業者との付き合い方を考えさせられる状況に

 スイスフランショックで具体的に事業に影響が出たのは国内に進出した外資系OTC事業者ではアルパリについでFXCMが2社目となりますが、ユーザー視点で見ますと、国内に資本金を立てて営業する法人格の会社でも本国の都合でこうも簡単に撤退や売却をしてしまうということがかなり鮮明になってきています。

 2つのケースともに顧客の証拠金や資産は守られますが、ユーザー視点から言えばこうした外資系1社だけと統合的に付き合って売買し、多額の証拠金を預け入れるのはいろいろな意味で危ないという気がしてなりません。

 1000万円の証拠金があっても3社に振り分けておけば何かのときでもほかの業者で取引ができるわけですから、ユーザー自身がコンティンジェンシーアプローチを可能にできるような業者選択と平行利用を考える必要がありそうです。また何かあればさっさと事業撤退する外資とそもそもどこまで真剣に取引するかについても一考を要する時代になってきたことを痛感させられます。

CHFショックの詳細も明らかに

 ちなみにFXCMでは3月の初旬に1月15日のスイスフランショック時の詳細状況を示したリリースを発表していますが、これを見ますとNDD方式では提携しているカバー先のインターバンクからのオファーレートがほどなくして出なくなり、いわゆる値とびの状態が頻発してFXCMが設定しているサーキットブレーカーの強制決済のレート以下でかなりのポジションが決済される結果となっており、その結果としておよそ2億7000万ドルの顧客からの未回収金が発生したことがわかります。

 ただ、これを見ると海外ではゼロカットシステムを導入しているのだと思いますが、顧客はその後簡単に支払いに応じなかったことがよくわかります。スイスフランショックもすっかり収まったように見えましたが、実は水面下では様々な敗戦処理が進んでいたことが明らかになってきているというわけです。(執筆者:坂本 博)