FOMCの利上げ問題と今後のドル展望


 これまでのドル高の動きは全て3月17-18日に行われるFOMCで 「忍耐強く」という文言が削除されるから、という前提で動いています。つまり、忍耐強くあることをやめ、これによって利上げの前段階をFOMCが準備しだした、というわけです。

 気候の影響によって景気減速が見込まれていながらも蓋を開けてみれば雇用を中心としてこれだけ強い数字が連続して出てきていることを踏まえれば、おそらく「利上げをしない」ことをほのめかし続ける理由は無いとみていいでしょう。したがって私も、「忍耐強く」という文言は取り除かれると考えています。

 しかし、その一方で6月に利上げが行われるという見方には全く賛成しません。理由は2つです

 1つは消費者関連の指標が実態も展望(マインド指数)も予想以上に芳しくないこと。消費者物価指数はプラスどころかマイナスに落ち込んでいますし、ミシガン消費者信頼感指数も予想より低い数値が出ています。ガソリン代が下がっても消費に回さず貯蓄を増やす傾向がみられるという分析もあり、好調な雇用だけをもって景気が完全回復したとFRBが結論付けるとは思えないからです。

 また利上げは現在の利上げ予測を前提にしたドル高に顕著なように、一層のドル高を生み出します。以前も述べたとおり、余りの急激なドル高はアメリカの製造業の勢いを削ぎ結果的に経済を減速させますし、ドル高は先進国同士だけの問題のみならず新興国の急激な通貨安を生み出します。特に現在新興国は経済を回すために相次いで利下げを行っている最中であり、アメリカがこのような状況下で利上げをすることは、国内のみならず、国外の通貨安を一層加速させることになり、結果としてグローバルインバランスを契機とした通貨危機が再度起きる可能性も示唆されています。

 また2つ目の理由として、現在のFRB議長であるイエレンがハト派であることを考えても、6月に利上げをすることはおそらく無いのではないか、というのが現状での私の見方です。当然利上げ観測後退はドル安を生み出します。これまで極端なレベルでドル高が加速してきただけに、ドル安に一端傾いたときの反動もまた凄まじいものになることは間違いありません。FOMCを控え、ドルストレートのツッコミ売りなどには十分注意しておきましょう。(執筆者:大島 正宏)