日経平均は15年ぶりの高値でもなぜドル円は追随しないのか?


 日経平均は実に15年ぶりに1万8300円を超えて引けています。これだけ金融緩和をして日銀がETFを買ってやっと1万8000円台かという印象もありますが、ひとつ気になるのが日経平均にあわせてドル円が上昇していかないことです。

 下のグラフのように日経平均とドル円の相関性はかなり崩れ始めているのです。

日経平均の買い手が変わった

 まず、ひとつ考えなくてはならないのが日経平均の買い手の問題です。2013年はデフレ脱却と円安によるインフレ醸成という国策に海外のヘッジファンドが相乗りする形で外国の投資家は年間15兆円を買い上げ、しかもそのうちのほぼ半分がヘッジファンドであったと言われています。彼らは円で資金調達をしていたようで投入資金自体は為替に影響を与えなかったものの、利益に対するヘッジのために日経平均先物を買い上げるとアルゴリズムがほぼ連動してドル円を買い上げたため両者の動きはリニアに変化していきました。

 しかし2014年ではこの動きは一端止まり、10月末の黒田バズーカ2以降に一時的には復活するように見えましたが、ヘッジファンド主体で2013年のようなダイナミックな動きにはなっていません。

 そして今年に入ってからの日経平均の上昇となるわけですが、これをドルベースで見てみると、外人投資家にとっては必ずしも過熱感を醸成していないことがはっきりわかります。

ドルベースで見た日経平均はそれほど魅力的な状況にない

 上のチャートはここ2年ほどの日経平均の動きをドルベースで示したものですが、現在のレベルは残念ながら2014年の4月レベルの高値に迫る程度で、日本円で見た回復感がないのです。しかもこの155ドルという水準は毎回外人勢が売り浴びせをかけてくるタイミングであり、買いのタイミングにはなっていないことがわかります。

 現状の株価はGPIFと日銀のETF買いで支えられており、特にGPIFのポートフォーリオ変更で11兆円程度の原資が残されているといわれていますので2013年の外人ヘッジファンド買いを肩代わりする規模の買い支えは見込まれていますが、こうした資金はドル転の必要もないものですから、これまでのようにヘッジファンドの日本株買いの連動でドル円が動くことは期待薄といえます。

 さらにGPIFは株を底値では買っても高値では売る存在ですから、この先1万9000円向けてどんどん買いあがる存在ではないことに加え、2月後半からは海外で展開している日本企業のレパトリエーション(利益の円転戻し)が始まることからドル円がこのまま月末に向けて上方向にどんどん上がる可能性はかなり低いものと思われます。ただ24日はイエレンFRB議長の議会証言もありますので一時的に上方向に動く可能性は残されています。

市場の関心は完全に円からユーロに

 ここのところギリシャ問題で連日ニュースのヘッドラインにあわせて相場が上下していますが、その主導的立場にあるのがユーロであり、ドル円はユーロ円に合わせて上下に降らされている感が強くなっています。

 日銀はここへ来て2年で2%のインフレ実現と言った覚えはないなどと言い出していますが、GDPの6割に及ぶリスク資産を中央銀行がもってもインフレ率を達成しないという政策のあり方にかなり外人投機筋が懐疑的になっていることは間違いありませんし、4月の統一地方選挙を控えて円安を進行させたくないという政権の思惑もあるようで、この4月までの為替相場の動きには注意が必要な状況です。

 先週開催された経済財政諮問会議で日銀の黒田総裁が財政再建なき金融抑圧による債務の肥大化について安倍総理に直談判した内容が議事録から消されたようですが、確かに先進国の中央銀行でETFやREITなどのリスク資産をどんどん購入しているのは日本だけというきわめて特殊な状況を見れば、投機筋でさえ懐疑的にならざるを得ないとも言える状況です。(執筆者:坂本 博)