FRBは本当に利上げをするのか?


 2月6日に発表された1月の雇用統計は、予想よりも強い数字で景気回復感を裏付ける内容となっています。

民間部門雇用者数
結果 267千人
予想 222千人 前回 320千人(240千人から修正)

製造業雇用者数
結果 22千人
予想 12千人 前回 26千人(17千人から修正)

平均時給(前月比)
結果 0.5%
予想 0.3% 前回 -0.2%

平均時給(前年比)
結果 2.2%
予想 1.9% 前回 1.9%(1.7%から修正)

週平均労働時間
結果 34.6
予想 34.6 前回 34.6

不完全雇用率
結果 11.3%
予想 N/A 前回 11.2%

労働参加率
結果 62.9%
予想 62.7% 前回 62.7%

 こうしたことから市場は利上げが確実に早期に行われるものとしてドルが買われ14日ぶりにドル円は21日移動平均線を上回り119円台にまで上昇しています。

市場の見方は二分

 毎月雇用統計の結果がいいと、早期利上げ見込み確実ということからドル円が買いあがりますが、世界的にはすでに32カ国が利下げをし、ECBは量的金融緩和を決定し、先進国を中心に通貨安戦争の輪が広がっています。

 せっかくのデフレ対策であるにも係わらず原油価格の下落は各国ともに輸入物価指数を大きく押し下げており、益々デフレに向かうというなんとも皮肉な状況が続いています。

 2月のリスク一覧でも触れましたが、FRBの政策の理論的支柱とも言われる、長期停滞論を打ちだしているローレンス・サマーズ元米国財務長官はこのデフレ状況下で安易な利上げをすることに否定的な見解を示しており、こうした意見がどれだけFRBに影響を与えるかが注目されます。

 一方でロックハート米アトランタ地区連銀総裁は6日、米経済は年内の利上げ開始が正当化されるほど力強い成長が継続すると考えられるが、弱いインフレや賃金の動向には不安が残ると述べています。

 また議会でマジョリティとなっている共和党は強く政策金利の正常化を要求しており、FRBとしても今後の手立てとして金利下げができるようにするためにも最低0.25%の金利上げはどこかで行っておきたいのは事実のようで、依然として6月もしくは7月ごろの利上げは維持されていると見るむきも強くなっています。

金融抑圧とバブルの温存のためには利上げはしても実効金利は上げたくないのがFRB

 現在FRBが行っているのは明らかに金融抑圧性策と国策でのバブルの温存ということになり、サブプライム的な過剰な自動車ローンの最近の状況もエネルギー系を中心としたジャンク債の破綻もなんとか問題にならないで済んでいるのは金利をインフレ率以下に押さえ、借金を増やさないようにしていることがベースにあります。

 本来ならばQE3が終了した時点で金利が上昇し大変なことになっていたはずですが、これを日本と欧州のQEが助けているのが実情です。ですから利上げといってもお印程度で市中金利が大幅に上昇することはFRBもまったく望んでいないというなかなかわかりにくい構造があることは理解しておく必要があります。

利上げで間違いなく起きるのは株価の下落

 これまでの米国の利上げでは確実に株価が下落しています。状況が似ているといわれる2004年の利上げ時期にはNYダウだけでも7%以上の下落があり、日本の日経平均もそれにつられて大きく下落しています。したがって利上げが決まった時点である程度の株価下落とそれに引きずられる形での為替の下落は覚悟をしておかなくてはなりませんが、最近の噂で買って事実で売るといった動きからすれば利上げ時期確定の動きとなったあたりで事前に相場は動いてしまうことが予想されます

3月16日ブラックマンデー説も飛び出す市場

 週刊現代に『気をつけろ!「3月16日ブラックマンデー」説』という記事が掲載され、巷では話題になっています。どこまで信憑性のあることなのかはさっぱりわかりませんが、なんとなく皆が下方向を気にするとそうなることも考えられなくはないものですから、一応の注意が必要であることは間違いありませんが、テールリスクというのはだいたいいきなりやってくるものですから、週刊誌に出ているうちはまだ危なくないのかも知れません。

 とにかくこうした状況でまだ米国の利上げは確定的な状況とはいえませんが、事実だけを積み上げていきますと、周辺国がデフレになろうともFRBはあくまで自国の金融政策だけにフォーカスしていますから、利上げを予定通り行う可能性は高いというのが依然正しい認識といえるのではないでしょうか。(執筆者:坂本 博)