思わぬEU崩壊騒動再燃につながりかねないギリシャ総選挙の行方


 2014年末には実施が広く認識されていたギリシャの大統領選挙ですが、実際に3回の投票をもってしても大統領が選出されなかったことから急激にそのリスクが叫ばれるようになり、年末からリスクオフの市場状況が継続する状況にあります。1月25日にはギリシャで総選挙が実施されますが、その行方がかなりEUに大きな影響を与えることになりそうな勢いとなってきているのです。

GrexitがもたらすEU最悪のシナリオ

 シティグループのエコノミストであるエブラヒム・ラーバリ氏が命名してGREECEとExitをあわせた造語であるGrexitという言葉が年明けの欧米の経済紙に頻繁に登場するようになっていますが、このギリシャのEU離脱を示すGrexitが現実のものとなれば周辺国に与える影響はかなり大きく、ドイツのメルケル首相がギリシャの離脱に関する準備はできているといった発言をしてはいるものの、実際にこれが起きた時のネガティブインパクトは想像をはるかに超えるものになるという見方をするエコノミストが増えており、左派政権が誕生する段階でさらにユーロは大きく売り込まれるリスクに直面しています。

ギリシャ離脱はEU分裂の第一歩となる可能性も

 仮にギリシャが総選挙後EUからの離脱を決め独自通貨であるドラクマの利用を再開すれば、その途端に資金調達に窮することとなり、通貨の大幅切り下げは免れず、銀行は窮地に立たされることは間違いありません。また同様の状況がキプロスやスペイン、イタリアへと波及し、結果的にEU全体の分裂騒動へとエスカレートする可能性も高くなるというわけです。したがって金融市場の不安定な状況からユーロの下落はその後継続するという見方も広がりつつあります。

左翼政権が誕生しても本当にEU離脱にまで踏み切るかは微妙

 選挙ということで左翼政党はEU離脱などのかなり勇ましい内容をもって選挙運動に臨むことになりそうですが、実際にこうした政権ができてもEUを離脱することになるかどうかは微妙との見方も根強く残っています。したがって為替相場で考えた時には、2014年9月のUKにおけるスコットランド独立住民投票のように事前段階の情報で急激にユーロが売り込まれることとなるものの逆に結果時点では大きく買い戻される可能性も残されているのです。

逆にリシャのユーロ離脱が決定すれば一時的にユーロの買い戻しが加速する可能性も

 現状ではお荷物的存在のギリシャがEUを正式に離脱することとなれば、周辺国への影響は残るものの、一時的には大きなショートカバーのファクターになることも考えられます。実際問題としてギリシャのGDPは小さく、前回のソブリンリスクで様々なセーフティネットも確立しているため、ドイツの主張のように切り離しが成功すれば下げが進んでも一時的にユーロの大きな買い戻しが起きることも視野に入れておく必要がありそうです。

1月22日のECB理事会ではQEの決定は出ない?

 国債の買入とめぐってドイツ・ヴァイトマン連銀総裁との対立が深刻化しているECBのドラギ総裁ですが、当初は1月22日にQEの実施を強行突破するのではと見られていたものの、今回のギリシャの選挙が終了するまでは結果として動けない可能性がでてきており、1月22日のECB理事会で金融緩和についてなにも発表がなければ、ここでもユーロの買い戻しが強まることが予想されています。

Buy the rumor, Sell the factがもっとも起こりうるリスクケース

 ユーロドルに関しては、既に1.18台をつけておりここを下抜ければ1.16台あたりまでほとんどサポートラインがない状況となってきています。米系のヘッジファンドが年末に1.1のオプションを購入しているという話もあり、ギリシャの件をきっかけとしてさらなる大きな下押しももちろん想定されますが、どこまで下押しについていくかが今後大きな問題となりそうです。むしろ上述のように驚くほど大きなショートカバーがでることのほうを真剣に考えておく必要があるといえるのではないでしょうか。

 こうした政治的ケースの場合、テクニカルツールはまったく役に立ちませんので、あくまでプライスアクションを睨みながら、特に欧州系のインターバンクやヘッジファンドがリアルタイムでチェックするロイターやダウのヘッドラインの情報などにも十分な注意を払うことが必要となります。最近ではアルゴリズムもこうしたヘッドラインを読み込んでいますので、単語だけで過剰に反応することはしばしば発生します。また市場全体が売りに傾きすぎればショートカバーを誘発し、ストップロスを巻き込んで驚くほど巻き戻してしまう可能性もありますので、常にしっかりと損切りを置いてポジションを作っていくことが重要となるのは言うまでもありません。(執筆者:坂本 博)