1月スイス中銀ショックでFX個人投資家を助けた海外FX業者のゼロカットシステムって何だ?


 スイス中銀ショックは日を追う毎にその損害規模が大きくなっており、すでに数十億ドルのレベルへ拡大するのではないかとの見方をされるようになっています。損害のレイヤーとしては個人のFX投資家、FX証拠金会社(日本でいうところの店頭FX業者)、インターバンク、投資信託、ヘッジファンド、スイスフラン建てで住宅ローンを借りている東欧、UKの個人債務者などかなりの領域に広がりを見せている状況です。

海外FX証拠金会社のゼロカットシステムが個人投資家を救った?

 そんな中で国内のFX取引では聞きなれないゼロカットシステムというものの存在が話題になっています。

 これは国内のFX業者では適用になっていないものですが、投入した証拠金を上限として一切追証を求めないとする相対契約を結ぶことで、今回のようにFX証拠金会社がカバー先のインターバンクからプライスがでなかったり大きくスリップしてしまって想定どおりに損切りができなくなってしまったような時でも、証拠金を越えて損失がでた場合にはすべて業者が負担するという形態になっているのです。

 これは、今までそれほどすばらしい仕組みとは認識されていませでしたが、ひとたびスイス中銀の突然のオペレーション変更のようなことが起きればかなりの個人投資家保護になるということがわかったのです。

 アルパリがこのトラブルの翌日である1月16日にさっさと破綻を決めてしまったのはこうした顧客との契約から証拠金回収が不可能であることを即時に認識したからだといわれています。一部の国内報道では個人投資家の証拠金不足を業者がとりあえず肩代わりして損失をこうむったという書き方がされていますが、そもそも相対契約の約款上、証拠金を超える損失は業者が持つ旨の内容で締結がされているので、厳密には最初から業者が抱える高レバレッジでの損失リスクであるということができます。

日本の店頭FX業者の場合はどうなるのか?

 さて、一番問題になるのは日本の店頭FX業者で取引していた場合に果たして投入した証拠金内で損失が収まるのかということです。

 実は国内の店頭FX業者ではそのようなことは取引約款には一言も書いてありません。つまりロスカットがワイドスプレッドになってしまい投入証拠金以上に損失がでるような事態に陥ったときには個人投資家に追証を求めるのが基本となっているのです。

 たとえば今回のような事態が月曜日FX業者が取引を始める前の段階で起きてしまえば強制ロスカット前に損失が確定してしまうことになり、当然その不足証拠金部分について業者が支払いを求めてきて問題になることは明白です。

 ですから国内業者との取引は安心に見えてもやはり十分な注意が必要となってくることだけは肝に銘じておく必要がありそうですね。(執筆者:坂本 博)

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