日本ではシストレは定着しない? 既に二社がサービス終了のMT4


 2012年頃アルゴリズムによる高速売買がFX市場を席捲しはじめたころから注目されだしたのがシストレによる自動売買ですが、その中でも卓越したプラットフォームで自在に戦略設定ができるとして国内でもクローズアップされたのがMT4と呼ばれるシェアウエアで国内でもすでに6社以上が導入をはかっている状況にあります。

MT4はロシアのソフトウエア会社が開発した高機能FXトレードソフト

 このMT4とは正確にはメタトレーダー4と呼ばれるもので名前のとおりメタトレーダーのバージョン4のシェアウエアです。開発したのはなぜかロシアのソフトウエア会社で、このソフト自体はシェアウエアで導入にお金がかからないため、海外の主要なFX業者の実に8割近くがMT4を導入しているといわれています。

 海外業者の場合はプラットフォーム開発のコストをセーブして対顧客獲得のボーナスなどのプロモーションに大きな投資を行うところが特徴で、日本の業者は少しでもユーザビリティが向上するように自社で開発したトレーディングツールを独自提供するところが大きく異なっています。まあ景表法の問題で多額のボーナスをクレジットとしてでも提供できないという事情もあります。

導入が始まったばかりなのに既に二社がサービスの中止を宣言

 日本ではこれからやっと普及が始まろうかとしているこのMT4ですが、先行して導入した二社がそのサービスを終了しはじめており、業界でも話題になっています。最初に脱落を決めたのがマネックス証券で同社は昨年11月にサービスを終了し、その代わりにデンマーク製の新しいプラットフォームであるTradableの正式導入を始めています。

 またサイバーエージェントからM&Aでビジネスを買い取ったYJFX!もこの3月末でMT4のサービスの終了を宣言しています。導入当初は非常のポテンシャルが高く話題性もあったはずのMT4の導入が顧客の獲得に結びついていないことを示唆するのがこうした動きですが、なぜ日本で人気がでないのかはよくよく調べて見ると比較的簡単なところに問題があることがわかります。

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MT4の自動売買はユーザーに過大な負担

 国内ではチャートソフトとしての評価よりも自動売買ができるプラットフォームとしての期待が大きいMT4ですが、これを使って実際に自動売買をしようとした場合、クライアント(つまりユーザーサイド)のPCが24時間安定稼動し、常時ネットに接続している環境を作り出さなくてはならないところが大きなネックとなるのです。

 確かに自宅のPCにMT4をインストールして常時ネット接続にしたまま利用することも可能ですが、なんらかの理由でPCが停止したりネット接続が切れることになるとポジションの制御ができなくなり、売買不能に陥り多額の損失を出すことを迫られることになります

 そのためVPSと呼ばれるレンタルサーバーを借り、OSをインストールした上でMT4を導入して管理していく必要がユーザー側に発生することになりますが、費用の負担といい、サーバーの管理といい、FXの取引ノウハウとは全く関係ないITの領域に知見を求められることがその利用にあたって高いハードルとなっているのです。

 VPSをわざわざ借りてウインドウズをインストールしてみたものの設定を間違えて自動更新にしてしまったところ明け方に勝手にサーバーが再起動してMT4が止まってしまったという、笑うに笑えないような悲劇も起きているのです。

EAの収集と選択も至難の業

 同じ自動売買ができるプラットフォームであるイスラエルのトレーデンシー社が開発したミラートレーダーはストラテジー(戦略)は業者がプリインストールしたものだけしか使えませんが、一旦設定をすればパソコンを切っても業者側のサーバーに条件が保管されて利用が可能ですし、300種類以上のストラテジーがプリインストールされており、多い業者では8000種類が用意されていることからどう選択するかの妙味となっているのですが、MT4のストラテジーにあたるEA・エキスパートアドバイザーは利用者がネット上から有償・無償のものを収集し、バックテストで本当に機能するかを確認してからでないと利用できないといった別のハードルの高さも普及の障害となっていると考えられます。

そもそもストラテジーはブラックボックス

 これはMT4におけるEAに限ったことではありませんが、ミラートレーダーのストラテジーもバックテストの結果は良好でも週が変わると突然パフォーマンスが悪化してドローダウンの温床になるケースが続出しています。

 これはプログラム自体が特定のテクニカルツールの売買シグナルに依存していることからくるものであり、アルゴリズムのようにさまざまな情報から判断して売買の展開を変えていくといったほどのインテリジェント製がそもそもないことから、売買シグナルがでるまで間違った方向にポジションを増やし続けるなどの問題も起こってきています。しかもこうしたプログラムは第三者が作っているので内容が明快ではなく、とかくブラックボックス化しやすいのもユーザーから嫌気されはじめているのです。

先行利用ユーザーほど落胆させられる状況

 こうしたことからいち早く利用をはじめた先端ユーザーであればあるほどその使い勝手の難しさを実感することとなっているのがMT4の国内利用の現状となってしまっているのです。こうしたことから導入業者の1社であるFXTSなどはNDD方式により狭いスプレッドをMT4でも提供するようになっており、裁量取引でもチャートソフトとして効率利用できるように配慮をはじめているところもではじめています。

 クラウドコンピューティングが流行りの昨今の市場ですから本来はMT4もクラウドで提供することが利用に弾みをつけたのだろうと思いますが、ちょっとした配慮不足が利用拡大に結びついていないというのが現状となってしまっているのです。それとは逆にユーザーの関心はトレードの中身に透明性がありわかりやすいループイフダンへとシフトしつつある状況になってきています。(執筆者:坂本 博)

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