1日のボラティリティが非常に大きな相場がやってくる


 2014年前半、ドル円は驚くほどの膠着相場を演じることになりました。国内のFX個人投資家の実に8割が手がけているのがドル円ですからドル円の動きが止まることによって、国内大手のFX業者も取扱量が激減する事態となりましたが、逆に大きく動きはじめた10月以降は過去最高を記録するようになっており、いかにドル円が国内FXビジネスに大きな影響を与えるものなのかがわかる1年となった次第です。

 しかし良い意味でも悪い意味でも半年近く膠着した相場に慣れ親しんでしまったトレーダーにとっては、ドル円といえども大きく上下に振らされる相場にはまだなれておらず、トレンドの方向性は確認できているのに相場に振り落とされるという事態が11月以降頻繁に起こるようになってきています。

過去はドル円もボラの大きい通貨ペアだった

<2014年前半までの月足の推移>(ブルームバーグデータ)

 ブルームバーグが開示している過去情報によりますと、2000年以降でも月間で15円程度相場が動くというのはそれほど珍しいことではなく、日足でみても2~3円の上下動というのはそれほど驚くことではなかったのです。

 ところが2011年の東日本大震災以降は大幅な円安に向かってから1日で大きく動くことはなく、アベノミクスでの上昇も緩やかなトレンドであったため、下押しがあっても大きくやられることは比較的少ない平穏な数年を経過することができました。しかも2014年は年初に高値をつけてからずるずるさがりはじめ、2月の動きが2円07銭、3月2円56銭、4月2円80銭、5月2円20銭と月間で3円未満の低ボラティリティが連続し、6月にはとうとう2円を切るほどの膠着感を見せることになってしまったのです。

 これによりドル円はポジションをもっていても1日でせいぜい70銭程度しか動きませんでしたので、ポジション保有によるリスクというものがすっかり忘れさられた通貨ペアになってしまったといえるのです。

 しかし上の図のように2008年10月のリーマンショックでは1日7円動いていいますし、2010年のダウ1000ドル安では6円、東日本大震災では4円と結構それなりに動いてきた経緯もあり、必ずしも安心できる通貨ではないことを改めて認識しておく必要があるのです。

資金を増やすかレバレッジを下げるかが大きな対抗策

 10月末の突然の黒田バズーカ第二弾以降で、その日のうちに3円以上の上昇を果したドル円ですが、12月6日に121.84円まで上り詰めたあとほぼ1週間後の12月16日には115.56円にまで下落することとなり、11月や12月は1日最低でも1円は動くようになってきていている上、3円程度の上下幅も珍しくない日々が続くようになってきているのです。

 たとえば1日に70銭程度しか動かない場合には最も高いところでドル円を1万通貨購入してもそのままストップロスをおかずに放置した場合せいぜい7000円程度の含み損しか出ませんでしたから、損失を証拠金全体の5%に収めるとすれば1万通貨のポジション作りについて14万円程度の証拠金を用意しておけば大きなリスクにはならずに済んでいたのです。

 しかし1日に3円動くということは1万通貨を最も購入して放置した場合最大で3万円の含み損が出る可能性もあるわけですから、本来これに対応して書庫金5%以内に収めるためには1万通貨に対して60万円の証拠金が必要になるということができるのです。これだけの資金を用意できれば簡単に損切りしないで乗り切るという方法もありうるわけです。

 もちろん、そのまま放置せずに一定の下押しなどでストップロスを置いて損切りすることが定石となることは言うまでもありませんが、直近のドル円の場合ですと115.56円をつけてからほんの4日後には120円にすんなり戻る動きを見せており、レンジ相場のボラの大きさだけの状況とも言えるため、あえて損切りせずにトレンド回復をするという発想もあるわけです。

 また、最近FX業者などが言い出しているのはレバレッジを25倍から5倍などに下げることで大きな含み損リスクを回避できるということです。ただ、5倍のレバレッジにして取れる金額を考えるとかなり妙味の薄いものになってくるとも考えられますので、ここはトレーダーの方々それぞれの判断ということになります。

円安というよりもドル高で動く市場

 直近の市場は明らかに米国の利上げ時期の問題や債券金利、NY株価市場の動きで大きく上下するようになっていますので、アベノミクス初期のような円安基調でしっかりしたトレンドがでているのとはまた別のドル高円安になってきていますし、さらにドル円が125円を超えるようになると、すでに制御不能の悪い円安になることも考えられ、同じ円安であってもその中身をよく吟味することが必要になります。

 ただ、ルーブル安によるリスクオフになれば相変わらず思い切り円高に不利戻されることになりますので、これまで以上のボラティリティをしっかり予測して証拠金管理をしていくことが2015年は特に重要になりそうです。

 また、業者によってはコストのかからない形で両建てを行うことができるところもありますので、安い価格から持っているポジションの場合、無闇に下落局面で利益確定するのではなく、反対売買で下げ局面での利益を確保するといった方法を検討することも必要といえます。とにかくこれまでにないようなレベルで上下に振れるのが2015年のドル円相場となるのは間違いない状況ですから、こうした相場に適格に対応する方法をしっかり身につけておくことも必要となるのです。(執筆者:坂本 博)