逆石油ショックと米国のハイイールドボンドバブル崩壊の為替への影響


 2014年は原油の暴落という、高度成長期には想像すらしなかったような事態が起こり、為替相場にも大きな影響を与えています。すでにマーケットでは逆石油ショックと呼んでこの事態の推移を見守っている状況で、年末にかけては一旦原油価格も1バレル当たり50ドル台で小康状態を保っていますが、まだ落ち着いたとは言い難い状態が続いています。原油の下落当初は、エネルギー消費コストの削減で、米国では減税効果さえ見込めるとのことからドルが上昇し、株価もそれを歓迎しポジティブな反応が金融市場を覆っていましたが、徐々にその状況に変化が見られるようになっているのです。

OPECの目的はロシア、イラン包囲網とともに米国シェールガス潰しが本命

 OPECはこの間、一貫して原油精製の減産を否定し続けていますが、一説によればこの原油安はサウジアラビアと米国が組んでロシアとイランに制裁を与えているともされていました。しかし最近になってOPECはあからさまに米国のシェールガス潰しが大きな目的の一つであることを示唆しはじめており、その矛先は明らかに米国のシェールガス産業に向いていることが鮮明になってきています。

ロシアルーブルは年初来2倍の対米ドル単価まで下落

 この原油安とリスクオフの流れを受けて、もともと流動性が低く、信用力に乏しいロシアルーブルは対ドルで年初来のほぼ2倍の価格にまで下落し、国内経済は猛烈なインフレに直面する事態に追い込まれています。

 その後ロシア中央銀行の6.5%におよぶ異例の利上げ措置と実弾による為替介入によりかなり最悪の事態からは株も為替も大きく戻していますが、まだ完全な決着がついたわけではないのが現状です。

ロシアの原油安容認姿勢でエネルギー系のハイイールドボンドに大幅な売り

 原油価格がほぼ半額になった状況ではありますが、ロシアの原油供給会社はほとんど供給価格を米ドル建てで受け取っているため、この間にさらに半分の価値まで下落したルーブルに交換した場合、実は殆ど影響を受けていないという事実も浮かび上がっています。むしろロシアはこの原油安に容認姿勢を見せていることから、米国のシェールガス関連のジャンク債を国内のヘッジファンドがこぞって売り浴びせを行うこととなり、エネルギー系のジャンク債は大幅下落に直面しているのです。

プーチンの狙いは原油安容認で米国のシェールガスとジャンク債バブル潰し?

 転んでもタダでは起きないプーチン大統領はこの混乱を逆手にとって国家破綻を賭けて米国のジャンク債バブルを崩壊に導こうとしているのではないかという説さえ有力になりつつあります。

 12月初旬にJPモルガンチェースのアナリストが発表した見通しによれば、原油価格が1バレル65ドル以下となりその後3年間この水準を維持することを余儀なくされれば絵ねグリー関連のジャンク債の最大40%が向こう数年でデフォルトに陥る可能性があると予測しています。このエネルギー関連ジャンク債はハイイールド債のほ簿18%を締めており、一旦日がつけばサプブライムローン問題の二の舞になる可能性もでてきているのです。

事はロシア危機の問題から米国経済の問題へ

 OPEC首脳はこの間も余分な発言を連発しており1バレル40ドル台になっても減産しないといった発言に加えてサウジアラビアの当局者からは20ドル台でも減産しないと具体的な数字が飛び出していることから、市場では逆に投機筋がそれを試しに行く動きになるのではないかとも見られており、2015年年明けはまだ依然として原油暴落の絡むテールリスクがうごめいている状況にあります。

米国利上げでドル高円安シナリオにブレーキがかかる可能性も

 現状では誰しもがドル高を予想する状況となっていますが、このテールリスクが顕在化すれば、リスクオフから円が大幅に買い戻される可能性もありますし、そもそも慢性的で13兆円を超えた貿易赤字自体が解消し、実需としてのドル調達が減ることも予想されるのです。

 単なる原油価格の下落として捉えられたこの問題ですが、動き次第では西側、とりわけ米国経済に深刻な打撃を与えるネガティブファクターを抱えていることだけはあらかじめ理解しておく必要がありそうです。